2012.10.07

ささやかなお土産を

台湾に出かけたもう1つの目的は、台鐵に乗るというものだった。行き先は特に理由があったわけではないが、時間の都合もあり南部の古都である台南に決めた。実は台南でも《女朋友。男朋友》を見るつもりでいたのだが、朝の食事に時間をかけ過ぎて予定の自強号(特急列車)に乗り遅れたため実現しなかった。ただ台鐵は運行時間に遅れが出ることが多いようなので、予定の列車に乗れたとしても、もしかしたら上映時間に間に合わなかったかもしれない。

Gfbf_e8台南駅前

映画を見るという目的を逸したため、炎天下の街中をぐるぐると歩きつつ古刹である大天后宮に行ってみることにした。寺に向かう途中「海安路」という大きな通りを歩いていくと、道路の中央に巨大な映画看板が次々と現れた。過去に行われた映画祭か何かの記念碑なのか、今上映している作品ではなく、過去の名作やヒット作の手書き看板である。『風と共に去りぬ』や『タイタニック』といった洋画の看板が続いたあとに、『恋恋風塵』やら『ラブソング』やらが現れ、その後に目に飛び込んで来たのが、さすが台湾というこれ(下)。びっくりして思わず写真を撮ったが、台湾で本作がいかに愛されたかがよくわかる。

Gfbf_e5手前の人と車で、大きさがわかるかと……


そして下は大天后宮。向こうではポピュラーな海の神様、媽祖を祭る古い寺。通りを1本奥に入ったところに参道もなくひっそりとあるが、中は意外と大きく、街中の不思議な異空間という感じだ。この媽祖という神様を初めて知ったのは、20年以上前に読んだ荒俣宏の小説だっただろうか。

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ひと通り本堂の中を見てまわり、入口の門をくぐって帰ろうとすると、門の脇で本尊に供える花を売っていた女性が、「日本人ですか?」とよどみない日本語で声をかけてきて、この寺院と日本との深い縁を話してくれた。とても優しい雰囲気の人だったので、彼女が売っていた花を1皿買って(100元だった気がする)やり方を教わり、引き返して祭壇に供えることにした。馬鹿丸出しで「この花は何という花ですか?」と尋ねたら「玉蘭」と……。前夜に見た映画で孝全クンが摘んでいたのは何だったというのだ、おまえは一体どこを見ていたのだ。

Gfbf_e6中央は胡蝶蘭ですね

花を供えてもう一度門まで戻ってくると、帰り際に先ほどの花売りの女性が寄ってきて、自分が肩から掛けていたカバンに針金に通した玉蘭の花をつけてくれ、「また来てくださいね」と言った。思わず正直に「台南は遠いです」と答えたが、何で「また来ます」と言えなかったのかと後で後悔した。ひりつく晴天は寺にいるうちに一転して雨となり、ほっとする涼しさをもたらした。

Gfbf_e7 Gfbf_e10玉蘭

台南からは区間車(鈍行列車)で新左營まで行き、左營から台灣高鐵(台湾新幹線)で台北に戻るごく普通の帰路をたどる。駅弁は食べられなかったが、特急に鈍行に新幹線と各種の列車に乗れたのでひとまず満足だ。「家に帰るまでが遠足」ならぬ「切符を買うところからが電車乗り」だ。カバンにぶら下がった玉蘭は、台北に戻ってもなお芳香を放ちつづけた。

さて、前の記事で映画を見た後に祝杯を挙げたと書いた。その2日分の図。左は1日目、右が2日目。

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映画館は、台北でもほかの街でもほとんどがシネコン化していてデジタル上映である。フィルムでの上映館はどこの街でも、多数ある映画館のうち1つか2つといったところのよう。たまたま泊ったホテルから歩いて10分ほどだった長春國賓影城というシネコン(デジタル上映)で2回とも見たのだが、この映画館、何度か監督やキャストが宣伝に訪れていて、出かけた前日にも楊雅[吉吉](ヤン・ヤーチェ)監督と鳳小岳(リディアン・ヴォーン)が来ていたらしい。台北のうちでも、かなり長い間《女朋友。男朋友》を上映していた映画館である。見たのは土曜の19時30分の回と日曜の21時30分の回だったが、土曜はともかく、日曜の遅い時間帯でも6~7割は観客がいたのに驚いた。

写真のビールの後ろに写っている雑誌は、左が張孝全表紙の台湾版『GQ』8月号。わざわざ買いに行ったわけではなく、ビールを買おうと入ったコンビニの雑誌の棚に普通に陳列されていたもので、どうしても素通りできず購入することになった。この『GQ』の張孝全インタビューはそんなに長くはないが、演技についてかなり突っ込んだ質問をしていて面白い(前の記事にも書いたように、ウェブ上に公開されているインタビューは抜粋で全文はない)。インタビュアーが、ニエズのときの呉敏の声と表情と、メイキング映像のインタビューでの素のそれとの違いについて話を向けると、彼は(ニエズを見て)、「自分の声は、どうしてこんなに軽く柔らかい声に変ってしまったのか」とびっくりしたと言っている。

右は『cue』という映画雑誌の7月号。コンビニで売っていたのはもう8月号だったが、7月号が桂綸[金美](グイ・ルンメイ)と鳳小岳のインタビューだと知って、SPOTまで行って買ってきたもの。


※写真はすべて携帯電話のカメラで撮影 (でも、ピンボケ部分は撮った人のせいです)