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2012.06.11

ニイハオ、宋先生!

Saigo

まさかの偶像劇である。あまりに久しぶりでやり方を忘れてしまい、ようやく貼り付けた上の小さな画像は、日本の公式サイトから切り取ったもの。(小さくしたのでどうかお許しを)

BS日テレで、毎週水曜23時より放映中の台湾ドラマ『最後はキミを好きになる!』。原題は、《醉後決定愛上[イ尓]》。言わずと知れた2011年台湾No1ヒットのテレビドラマで、『Tatto -刺青-』の楊丞琳(レイニー・ヤン)と張孝全がカップルを演じるラブコメだ。2011年に台湾がそんなことになっていたとは全く知らなかったが……。

BS日テレの公式サイトに謳われているとおり、このドラマは、台湾偶像劇史上最高視聴率を記録した『ハートに命中100%』の陳銘章監督チームの手によるもの。……ということで、それぞれに恋人のいる男女が、それぞれの相手とのいさかいを抱えたまま飲み出かけた先で、ほとんど出会ったばかりの相手と酔った勢いで結婚してしまうという荒唐無稽な物語が、その阿呆らしさがどうでもよくなるくらいの見事さで転がっていく。

※たまたまつけたテレビで放映を見つけたので初回から見ておらず、説明が間違っていたら申し訳ありません。
 あとで頭から見るつもりではおります。

張孝全はデビュー10年。映画やテレビドラマでそこそこ名前は知れていたものの、テレビの力とは恐ろしいもので、このドラマの大ヒットによって台湾だけでなく、香港、大陸、シンガポール等々にも完全に顔と名前が売れたらしい。地元台湾では、買い物などに出かけても「宋さん(←彼の役柄の名前)、こんにちわ」と声をかけられ、一体誰のことかとびっくりするなどと昨年のインタビューでは語っており、まるでNHK連続テレビ小説のヒロイン状態。

中華圏版ツイッター、おなじみ新浪網(sina.com)がやっている"微博"の彼のアカウントのフォロワーは10万を越えている。まあ、他の中華明星や有名人のアカウントのフォロワーは数千万という単位なので、それに比べれば微々たるものかもしれないが、馬志翔あたりのアカウントのフォロワーが数千という数なのを見ると、ブレイクしたと言えるのだろう。(馬クンと孝全クンの微博上での掛け合いはなかなか楽しい。「お姉さま~」「妹~」というあれは一体……!? (「先輩」「後輩」ぐらいの感じですか?))

『最後はキミを好きになる!』における張孝全のキャラクター"宋杰修(ソン・チエシウ)"は、都会的なインテリアデザイナーでモデルの恋人がいるという昔の少女漫画みたいな役柄だ。コメディということで滑稽な演技がふんだんにあるが、インテリアデザイナーなので住んでいる家も身に着けるファッションも、従来のイメージからは考えられないくらいおしゃれで、ファンにはそこも大きな見どころの1つ。優秀な成績で大学を出て、美意識が高く様々なモノへのこだわりがあり、家でくつろぐときにはいつもアート雑誌や洋書を読んでいるのが宋杰修。おいおい、キミが読むのは「ジョジョ」だろう……と思わず画面に突っ込みを入れたりしながら、映画の何10倍もの長い時間を登場人物と共に過ごしていくことができるのはなかなかに幸せだ。テレビドラマの楽しみというのは、登場人物と同じ時空を生きる(まるで近所の人になったような)そんな楽しみなんだと思う。

コメディ初挑戦ということで器用に演技をこなしているが、面白いはずの場面でなぜか微妙に見ている方が恥ずかしくなることがあるのは、彼の未熟さではなくて、喜劇を演ずる張孝全にこちらが不慣れだからだと思いたい。でも、脇を固めるベテラン俳優たちが繰り出す、何も考えずに見られる爆笑シーンにほっとしたり……。インタビュー番組での彼の友人への取材によると、しかし、実際の張孝全とドラマ中の滑稽な様子にはさほど差はないようだ。

楊丞琳演じる林暁如(リン・シャオルー)とのカップルとしての画面映りは抜群に良い。動画投稿サイトにアップロードされている様々な取材風景やメイキング映像等にも、「お似合い」「本当にカップルだったらいいのに」といったようなコメントが並ぶ。実生活ではそんなことは全くないようだが、おそらくドラマを見ている人のほとんどは、劇中、彼らの気持ちが通じ合ってやさしく抱き合うシーンなどを見ては、幸せな気持ちになったに違いない(←やや気色悪い?)。

ここで大きくは触れないが、実はヒロイン林暁如こそ、一筋縄ではいかない強烈な個性で物語を牽引する魅力的なキャラクターだ。宋杰修も、当然、そんな林暁如に惹き付けられていく。小柄な身体の楊丞琳がつくり上げる一本気な林暁如像が本当に可愛い。

張孝全の映画やドラマをすべて見たわけではないが、これまでの印象として、女優さんとカップルを演じると、どちらかというと女性の方が大人っぽく見えることが多いような気がしていたが、このドラマでは、すっかり「素敵な彼氏」というよりは「理想のダンナ様」的雰囲気を醸し出していて、いや~孝全クンは「少年」からいきなり「おっさん」もとい「夫」になってしまったかと妙な寂寞感がこみ上げる。林青霞に讃えられたことがやたら取り上げられていた《涙王子》なんか、既にパパですから。

インタビュー番組などのオファーも沢山あるようで、TVBSのインタビュー番組(今年5月末ごろ)では「ゲイ役の多さでは台湾第一」などとキャプションのついた映像が流れ、公視「人生劇展」のあの幻の《拍賣世界的角落》の一部が使われた(DVD再版希望)。8月3日台湾公開の彼の映画最新作《女朋友。男朋友》は、6月下旬から始まる台湾電影節でオープニング上映されるが、監督の楊雅[吉吉](ヤン・ヤーチェ)によれば彼の魅力は、「ラブラドールみたいな感じ(の子犬のような目)」だと……。曹瑞原監督も、ニエズの配役時に印象に残っているのは彼の「目」だと言っていた。(まあ、俳優の印象を語るのによくある表現ではある)

興味深かったのは、4月に楊祐寧と2人で出演したトーク番組"小燕之夜"でのニエズ撮影時の話。楊祐寧や馬志翔とは共演シーンはないはずなのに仲が良いらしいのは、ニエズのプロモーションであちこち一緒に行ったからかと考えていたが、ニエズの場合には、撮影開始以前から、彼ら若手俳優たちは毎日事務所に詰めて一緒に台本を読んだり役作りの準備をさせられていたとのこと。ただし馬志翔については、それよりもっと早く(おそらく《十八歳的約定》の出演時に)知り合って、兵役も同時期で近いところにいたらしい。馬志翔によると、張孝全は「大きな男の子(子ども)」のようだと。

『最後はキミを好きになる!』は、台湾では全18話として放映され、番組の終わり(?)には10数分ほどの撮影中の風景(メイキング)が毎回おまけとして流されていたようだ。日本では「国際版」ということで全30話として放映されている(台湾本国以外での放映がすべて30話版かどうかは未確認)。台湾オリジナル版の1回分が1時間を越える長さだからだと思われるが、30話版は18話をカットし直して作られているので、1回ごとの話の終わりが唐突に感じられることも少なくない。

そして、このドラマの終盤に、懐かしい張先生こと沈孟生が登場する。それを知らせたいがために、ここまで長々とくだらぬことを書いてきた。最終回のメイキング映像の中で張孝全は、「現在の恋人(妻)」役である共演の楊丞琳に向かって言う。沈孟生は(かつて共演したドラマで恋人だったから)「元カレ(前男友)」だと……(←そんな些細なことで喜ぶな)。

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