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2008.09.08

海洋映画祭。

奥さまは首相~ミセス・プリチャードの挑戦~』は面白い。でも、全6回なので9月中には終わってしまう。1回目はたまたま食事中にテレビをつけたら放映中で、最後の20分ぐらいを見た。2回目はやや意識的に見た。主人公(ミセス・プリチャード/地方都市のスーパーの店長)が首相として演説する場面は感動的だ。二世、三世議員が跋扈する日本の現実では考えられないような彼女の言葉。それがドラマとして成立するのだから、英国の現実だって苦々しいものなのだろう。あと4回、うまく見られれば幸運だ。

8月は映画館に足を運ばず。7月以来の映画館は、アジア海洋映画祭イン幕張。前売券を3枚申し込んであったので、いかにこのところ出不精気味とはいえ、すべてのチケットを無駄にする気にはなれず、頑張って出かけた。この映画祭は4回目だが、参加は初めてだ。幕張は地理的には自宅から決して遠い場所ではないのだけれど、乗り継ぎが悪いととんでもないことになる。帰りは1時間で帰れたのに、行きは1時間40分もかかり1本目の頭を見逃す始末だ(←いつものことだろ)。

インドネシア映画『フォトグラフ』と韓国映画『少年監督』、タイ映画『夏休み ハートはドキドキ!』の3本を見たが、噂にたがわぬ作品の質の高さの上に、故郷に帰ったかのような何ともしれぬ懐かしさのようなものが肌身に染みた「アジア」映画だった。

コンペティションのグランプリは、「エドワード・ヤンの弟子」だという魏徳聖(サミュエル・ウェイ)監督の『海角七号』だそうだ。スケジュールが合わず見られなかったが、あちこちで賞をとっている作品だそうだから、きっとまた上映されることもあるだろうと思う。

特に良かったのは、インドネシア映画『フォトグラフ』。東南アジア色の画面に、甘くない郷愁の漂う佳作だ。パンフレットによると、ロケは中央ジャワのチャイナタウンとのこと。過去にとらわれて生きる老いた男と、人生と戦う若い女の、血縁関係でも男女関係でもない人と人とのつながりが、アジア的な思いやりの中でおずおずと少しずつ深まっていく様子が、男の生業である写真館を舞台に展開する。老人の過去ゆえに、供物と線香を捧げ死者を弔う場面が全編を覆っているが、悲観的な人生観を持った作品ではない。何よりも写真館の跡継ぎが欲しかった老人は、その夢をかなえることはできなかったが、写真館の屋根裏の間借人であり、アカの他人である女性と彼女の娘の中で、思い出として支えとして生き続けることになる。

韓国映画『少年監督』も非常に良い作品だという評判にたがわぬ、幾つかの場面やイメージが様々な思いを呼び起こす力を持つ、基礎体力のある映画だと思う。江原道の夕焼け谷(←原語は忘れました。何とかコル)という村に暮らす小学生の少年が、映画作家を志していた亡き父の残した「壁画」を8ミリに収めようと、ソウルまで8ミリカメラの使い方を学ぶために出かけていくというロードムービー。イ・ウヨル監督はティーチ・インに参加された。場内でも質問者の方が指摘していたように、こちらは『フォトグラフ』と逆に、コメディタッチの明るい語り口でありながら、非常にシビアなラストが待っている。けれど画面からひしひしと伝わってくるのは、絶望感でも何でもない。伝播するほどの映画への情熱の不思議さと強さ。何度も登場する米研ぎシーンや食事の場面に表象される生活の大切さ、強く生きることの大切さ。そして人との縁。現実はぶちのめされるほど厳しいけれど、それをどうやって乗り越えて生きていくのかということを、少年の身を持って感じさせてくれる、辛いけれど元気になれる映画だった。

『夏休み ハートはドキドキ!』は女子が非常に可愛かったけれど、ハートがドキドキしない年頃には、余りに長い時間だった。とはいえ、純粋な若者たちの細やかな感情描写は素晴らしい。非モテ、非恋愛系、オタク寄りの人生を歩んできた身としてはやはり、オクテな大学生ジョーがキャンパスの美女シーに片思いするエピソードとか、台湾アイドルに熱中する菊池桃子似の追っかけ少女オーレックのエピソードがわかりやすいし好きだ。

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コメント

diabloさん、お久しぶりです! 
来ていただいてありがとうございます。

海洋映画祭はなかなか充実していますね。
シネプレックスの方であれば、駅前ですし……。
前売チケット代金の振込が
ぎりぎりになってしまった迷惑な私にも
スタッフの方は適切に対応してくださって
本当に有難かったですし……。

あれで海浜幕張駅、というか京葉線自体が
もう少し乗るのに便利な運行状況にあれば文句なし
なのですが……。

フィリピン映画も
フィリピン映画であるゆえにのみ
見たかったのですが
台湾偶像の方の出演のおかげで
チケットはとれませんでした。

『海角七号』は、紹介を見た限りでは
台湾退屈系映画本流といった感じを持ちますが
diabloさんは、どの作品がよかったですか?

今週末は、元気があれば
台湾 or スペイン・ラテンアメリカ、のつもりです。

おお~!石公さまも幕張にいらしたんですネ!
毎度ご無沙汰のdiabloです。(苦笑)

私も1年に1回の遠足(!)と観念して1日だけ
幕張に行ってました。あの距離なので連日は通えない
のと、期末に加えて映画祭シーズン突入で年末で体力
が持たないですし・・・

『フォトグラフ』非常に気になっていたのですが、
見逃しました。後『少年監督』も。流石、石公さま私
が気になる物をちゃんとチェックされてますネ~

『夏休み ハートはドキドキ!』確かに、長かったでネ。
でも、楽しかったです。そして『海角7号』ですが、
ご覧になって無い様なので、詳しくはコメント致しません
が「エドワード・ヤン」のブランド価値はかなり高い!と
今回みな様の反応や海外での受賞歴をみて感じました。
あっ、良い作品だと思ってますが・・・


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