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2006.11.12

年末の大物

日本での紹介の際には必ず、「侯孝賢(ホウ・シャオシェン)作品の脚本家&姉妹(妹は朱天心)で著名な作家」などという言葉で修飾されてしまう作家、朱天文の長編小説『荒人手記』は、白先勇『孽子 げっし』の台湾での出版からおよそ10年の後に上梓され、第1回の時報文學百萬小説奨(首奨)を獲得した(1994年?)。台湾の同性愛文学というと『孽子 げっし』と共に書名の挙がる『荒人手記』。もちろん日本の朱天文研究の第一人者で、『台北ストーリー』中の朱天文の短編『エデンはもはや』なども訳しておられる池上貞子氏の翻訳で、いよいよ12月に発売とのこと。『孽子 げっし』同様に、「いつかは日本語で読める日が来るのだろうか」と、かねてから漠然と「その日」を待ち望んできた作品の1つである。こちらは『孽子 げっし』よりも、かなりハイブロウな様相。手に取る日が楽しみだ。

検索するとすぐに出てくる、『荒人手記』を英訳された方へのインタビュー(翻訳の傑作『荒人手記』の訳者にうかがう)も、技術的な話だけではなく、作品をどう読んだかなどとと尋ねている部分があり、面白い。

国書刊行会のサイトの「これから出る本」では、「親友をエイズでなくした40歳の男が、みずからの無軌道な半生を振り返り、現代に生きる人間の孤独を独白していく。レヴィ・ストロース、毛沢東、蒋介石、フェデリコ・フェリーニ、小津安二郎、成瀬巳喜男……、さまざまなジャンルのテキストを引用しつつ繰り広げられる、家族や性に関する省察。第二次大戦後大陸から台湾へ移住した父を持ち、侯孝賢監督の脚本家として日本でも知られている女性作家・朱天文が1996年に発表し、台湾最大の文学賞を受賞した長篇小説」と紹介されている。

国書刊行会 【新しい台湾の文学】 
荒人手記 朱天文/池上貞子訳 予価2400円(ISBN4-336-04532-1)
12月刊行予定

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コメント

まあ刊行予定はあくまで「予定」ですね。

私が今、手に取るのを心待ちにしているのは、復刊が決まったらしいイヴリン・ウォーの『ブライヅヘッドふたたび』です。

台湾ではないですが、新潮クレストブックスで現在最新刊として発売されている、ルル・ワンの『睡蓮の教室』もとても興味深いのでぜひ読んでみたいのですが、本の厚みでなかなか購入に踏み切れず(笑)。

いやー(冷汗)  「講座台湾文学」 
先勇先生のとこばかり読んでいて天文さんの
ことは印象がなかったです。

「台北ストーリ」購入時に挟まっていた
「新しい台湾~」シリーズのチラシによると
【年2回配本】だったみたいです。
例の本がペースを崩したのかもしれません。
(最終的に持ち直した とも言う)

本の後ろの刊行予定から予測すると
「張系国SF集」が07年前期
「台北人」が07年後期
かもしれません。根拠はありませんが(笑)

@ゆうこさん、リンクをありがとうございます!

『荒人手記』についていくらか詳しく読んだのは、私は、2~3年前に買った国書刊行会の『講座 台湾文学』(2003年刊行。内容や批評家たちの評など結構詳しく載っています)という本でですが、それ以前から、ウェブ上の情報で知ってはいました。

そうですね~、『台北人』シリーズも出してほしいですね。(そんなに出せ出せ言うより、この「新しい台湾の文学」シリーズの、ほかの幾つもの未読の作品をちゃんと読むことの方が先じゃないのか←自分)

そうですよ!!
「年間1冊ペースだから来年だろう」
と勝手に思ってましたがもうそんなことになって
いるんですね。「荒人日記」楽しみです。
でも本屋でみるまで疑っているであろう我(苦笑)

この勢いで「台北人」も頼みます。国書刊行会さま。


ちなみホンの少しですが

東方選書  「台湾文学この百年」
ISBN:4497985474 東方書店 (1998-05-30出版)
藤井 省三【著】
に内容が紹介がされてます。下記通販リンク。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-ISBN=4497985474

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