« 地味目の始まり。 | トップページ | 小説より奇なるものは「事実」か »

2006.10.23

さわやかな1日(笑)

日中、東京国際女性映画祭に行こうと思っていたけれど、とても見たかった作品は平日昼間だったり、平日夜のほかの予定とかぶっていたりで……(『ダブルシフト』とか『ショッキング・ファミリー』(韓国映画!)とか『ドバイの恋』(フィリピン映画 !! )とか、見たかった~。日曜から木曜なんてスケジュールじゃなくて、土日とやってほしかったなあ)。悩んだ挙句、ことしはあきらめ、前売りを買ったまま見損ねていた『サムサッカー』に行く。その後、オーチャードホールで『浜辺の女』、六本木で『エクソダス 魔法の王国』を見る。3本とも、全く違う話ではあるものの、後味はさわやか。楽しい1日となった。

『浜辺の女』。ホン・サンス監督の(たぶん)7作目の長編映画。どんどん「軽み」を帯びてきている。『豚が井戸に落ちた日』の「不快な感じ」が好きだったが、このところそれが感じられなくて、物足りなかった。ところが、今回は軽さが、物足りなさよりはむしろ滑稽さを生み、これまで監督の作品に期待してきたものと全く別のところで、肩すかし的な納得のさせられ方をしてしまった。いや、面白かった。これなら、普通に(笑)公開できそうだ。朝鮮半島の西側の景勝地の浜辺へ出かけて、シナリオを仕上げようという映画監督と、彼のスタッフとその彼女、そしてそこに遊びに来た女性観光客がからむ、いつもの、アーティスト系の駄目男とその友人と、複数の女性との恋愛沙汰。例によって、押したり引いたりぼっーとしたり、おかしな行動あり、どこか哲学的な言葉あり、というパターンなのだが、会話が多く、繰り返しが少ないあたりが、「見やすい」のかもしれない。ホン・サンスの描く女性像は、見ていてどこか気持ち良い。恋愛下にあっても、サクサク自分で行動するからか。恋愛ばかりをテーマにしている割には、女に対する一方的な思い込みがないからなのか。「わかんねぇよ」と、主人公の映画監督よろしく、理解しようなんていう幻想はとうに捨てて、そのまんま撮ってくれている感じが、さわやかなんだろうな。

『エクソダス 魔法の王国』。フィリピンのエリック・マッティ監督の、ロードオブザリング的悪と戦い国を守るファンタジー系フィリピン映画。ガガンボーイのときにも書いた気がするけれど、やはりマッティ監督は、東京国際ファンタスティク映画祭あたりの、会場大盛り上がりの拍手と爆笑と失笑の渦の中で見たい。クオリティも、笑える度も、キャラクター造形も、ガガンボーイよりパワーアップしている。主人公エクソダスが、四元素のメンバーたちと合体するクライマックスあたりは、本当に素晴らしかった(素晴らしいのか?)。ジェイ・マナロがいなくて寂しいと思っていたが、主演のラモン・レビリャ・Jr.は、ややモンゴロイド系の顔のジェイ・マナロといった感じ&立派なボディ(というか太めなだけか)で満足させてくれたし、おなじみオーブリー・マイルズも猫目のコンタクトでがんばった。キャラクターでは、ベンジー・パラス(この方、元バスケットボール・プレイヤー?)の演じた、見た目はアラジンのランプの精のディズニーキャラクターのような地の精霊(名前、忘れました)の、スペシャルにマッチョ&コワモテなのに妙に可愛いいという、安田大サーカス系の面白さと、「永遠の子供」シラブという神がかりな役なのに、演じたBJフォルベスが「どこをどう見ても、目付きの悪い普通のガキ」なところが、印象的だ。前半、まさにロードオブザリングみたいに、戦場となっている城と広野と、戦いに赴かんとする人々が映る。メジャーなハリウッド映画に比べれば、すっごい小規模(笑)で、ちゃちな遠景のカットだ。そして、俳優たちは、皆フィリピン(あるいは近隣のアジアの国の)人で、フィリピンの言葉を話し、その虚構の「全世界」が悪の手に落ちようするのを防ぐために戦おうとしていることが語られる。全員がアジア人の顔なのに……。そこで笑ってしまって初めて、ハリウッド映画だって同じく可笑しいんだということに気付く。オリバー・ストーンの『アレキサンダー』で、アレキサンダーの妻ロクサネをロザリオ・ドーソンが演じていたのをおかしいと言っていた人がいたが、そもそもがあの映画は全編が英語でできている。フランスの歴史物だって、イタリア物だって、ハリウッドがつくればみんな英語を話す。虚構の世界でも、その「世界」の中心は白人が演じていることが多い。それなら逆に、どんなにチープだって、B級だって、その国その国の、虚構世界を描いた映画があっていいし、あるべきだし、そこでは、その国の人ばかりの「世界」が描かれるべきなんじゃないか、その国の言葉だけで成り立つ世界があって良いんじゃないか。そういうものが、いろいろ見られたら、そりゃあ面白いんじゃないかと、超娯楽作の"エクソダス"を見ていて考えた。いやとにかく、物すごく進化してるんです、エリック・マッティの世界は!

« 地味目の始まり。 | トップページ | 小説より奇なるものは「事実」か »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9120/12386821

この記事へのトラックバック一覧です: さわやかな1日(笑):

» 映画祭だよ★おもしろCM★ [世界おもしろCMランキング]
R25でも取り上げられた、巷でうわさのバイラルCM。笑えるCMが満載ですよ☆ ※音が出ますのでご注意ください。 ※ちょっと過激なCMもありますので、お子様の閲覧には十分ご注意ください。 [続きを読む]

« 地味目の始まり。 | トップページ | 小説より奇なるものは「事実」か »