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2006.10.27

息を抜く

『不完全恋人』を見たのは、ただただ、ボクカレの陳映蓉(DJ・チェン)監督の作品だから……。力を入れて見るような映画ではなく、実際、アジアの風部門で見る作品を迷う人なら絶対に見る必要のない作品だし、他愛のない悲恋物にすぎないのだが、これが意外、帰路、このところの重厚な作品の連続で疲れていた頭が、すっきりと軽く(←もともと軽いけど)なった気がしたのだった。

ティーチインにはメインのキャストと監督が登場。この映画は元々、プロデューサーでもある台湾の歌手、張信哲(ジェフ・チャン)が自分の新しいアルバム用に書いたいくつかの曲を元に映像でストーリーをつくってみようという思いつきから始まっていて、知っていた陳映蓉監督に声をかけて実現したということだ。だから全編を張信哲の音楽が流れ、スピーディーに展開するMVのような映画になっている。主演の阿部力もティーチインで、当初は単発のテレビドラマ(のようなもの)を撮影していたはずが、出来上がってみたら「映画」になっていて、映画祭で上映されていることに驚いているというようなことを言っていた。

自分自身は見ていて、「ああ、音楽がうるさいなぁ」と感じた。音楽が主体の映画なのだから、それを言ってはいけないのだけれど……。ヒロインの女優役のシー・クー(史可)が、さすがの大陸女優っぷりを見せつけ、非の打ちどころのない美しさである上に、しっかりした演技を見せてくれていただけに、軽いMV風映画になってしまっていることが、ちょっともったいない。

監督も、ニュースで見る写真どおり、さわやかで格好良く、作品も外見も全くタイプがちがうけれども、アリス・ワン監督姉御を久しぶりに思い出した。台湾=中国合作映画とのことで、台湾の音楽、台湾の若手女性監督、大陸の女優、日本人の男優、台湾人の男優、大陸の男優が登場し、撮影された舞台は北京。タイトルロールもエンドロールも簡体字。TIFFで紹介されているようなミュージカルではないけれど、合作(しかも中国と台湾)の音楽映画という面白い成り立ちと、「これから」の監督なのだろうが、今までの台湾映画のイメージとは明らかにちがう、フレッシュな感覚の作品をつくるという「期待株」的な意味で、映画祭でセレクトされたのかなと思った。

自分は張信哲も阿部力も、知っているのは名前程度のものなので驚いたが、本日もまた、ファンの熱気がそここに充ちるティーチ・イン会場だった。上映後、映画の内容に不満を漏らしていたお隣さんが、ティーチ・インで指されて、開口一番「すばらしい作品をありがとうございました」というのが、面白かった。あれは、心からの賛辞ではなく、質問の前の儀礼的枕詞なんですね(笑)。大人の礼儀ですか?

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