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2006.07.27

世界はつくりもの

近況にも書いたけれど、7月19日号「ニューズウィーク日本版」は海外ドラマの特集で、『エンジェルス・イン・アメリカ』も写真を含み5ページに及ぶ記事が載った。原作者(戯曲)トニー・クシュナー、テレビドラマ版の監督であるマイク・ニコルズと、出演者4名(アル・パチーノ、メリル・ストリープ、エマ・トンプソン、ジャスティン・カーク)が一同に会した形でのディスカッション(というか「おしゃべり」)を収録。

先にこのドラマの原作戯曲(舞台のための脚本)の第一部(トニー・クシュナー作、吉田美枝訳、文藝春秋刊)を読んでいたので、ドラマ版が、この戯曲をそっくりそのまま映像化していたのに驚いたが、ニューズウィークの記事でも、面白いと思ったのはそのあたりの会話。

クシュナー (監督の、ドラマ化についての発言を受けて)完璧な映像だよ。脚本は自然体には程遠い。舞台用だからセリフは大げさだ。でも、ごく自然なドラマになっている。

ストリープ こういう作品に出ると、つくづく映画って野心が足りないと思わされるわね。

パチーノ 映画では「自然体」に束縛される。

トンプソン 「自然体」は演技の必須条件じゃない。だからこそ『エンジェルス』は、役者みょうりに尽きる仕事だった。

(7月19日号「ニューズウィーク日本版」より引用)


2006.07.19

Lust, Caution(色,戒)

毎日チェックしていたわけではないので、既に出回っているニュースなのかも知れないけれど、李安(アン・リー)の次の作品(張愛玲の短編小説《色,戒》の映画化)のキャストが、梁朝偉(トニー・レオン)、大陸の新人女優、湯唯(タン・ウェイ)、王力宏(ワン・リーホン)らに決定したとのこと→TheHollywoodReporter

湯唯を中心に人間関係の絡まりあう、第二次大戦下上海を舞台にしたスパイ・サスペンス物で、梁朝偉が演じるのは大物政治家、王力宏は学生。湯唯は直接的には「若い女性」としか説明されていないが、「メイン・キャラクターは、日本政府のスパイをおとしいれ暗殺しようとする」とあり、もしかしたらそういう役なのかもしれない。(中国語のわかる方、検索すると出てきますので、原作を読んでみてください(←無責任))

プロデューサーはビル・コン、ジェームス・シェイマスは今回はエグゼクティブ・プロデューサーにまわる。原作を脚色するのは、『恋人たちの食卓』や『グリーン・デスティニー』の脚本家の1人である王蕙玲(ワン・フイリン←読みがあっているかどうか自信なし)。

梁朝偉はもちろん国際的な俳優だから説明するまでもないが、今回の発表で注目をあびたのは、何と言っても(たぶん)主演女優(であろう)湯唯だ。可能性を秘めた多芸な才人と、李安もジェームス・シェイマスもほめちぎっているが、実際彼女は、北京の名門、中央戯劇学院の「表演系」(演技コース)ではなく「導演系」(監督コース)を卒業しており、17歳でプロのモデルとして活躍し(?)、卒業後は舞台の演出や映画監督のほか、テレビドラマや舞台で女優としても活動しているのだそう→新浪網の記事

Tangwei彼女の写真を見ていたら、キャシー(リンダ・カーデリーニ)を思い出した、全然違うけど。(この画像も新浪網より)


※「allcinema ONLINE」で脚本家(王蕙玲)を調べていたら、別に深い場所でもなんでもなく普通~に出てきたのが、謎の李安脚本のテレビ作品『恋のトルティーヤ・スープ』。テレビドラマで、監督もマリア・リポルという人なのだが、オリジナル脚本が李安、ジェームス・シェイマスそして王蕙玲の3名の手によるもの。出演者だって、ラクエル・ウェルチぐらいしか、自分には名前のわかる人がいない……。何ですか、これ?

2006.07.17

a crimson mark

Acrimsonmark
『脣痕(シンコン)』(A Crimson Mark) 
2004年韓国 パク・ヒュンジン監督 13分(短編)
東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2006(星に願いを ボーイズ短編集)にて上映 

2004年の香港の映画祭のサイトで、韓国古装のこの短編映画の存在を知って以来、頭の片隅に引っ掛かっていて、「ついに見た」という作品。

朝鮮王朝のある時代(←ってどこだよ?いつだよ?)、宮廷では、崩御した先帝に対する服喪の期間をめぐり、3年派と1年派とが激しく対立していた。その3年派の高級官僚(大臣か?学士か?)の1人と、対立する1年派の若手官僚が愛を交わし……という内容。

短編なのに起承転結度外視で、シリアスなのに、ラストでは場内で微妙な笑い声が上がっていたというお粗末系な脚本な上、恥ずかしいぐらいお耽美な映像で、衣装の色どりなどももちろん、そりゃあ大変美しいのだが、まあ「困ったもんだ」……という感じがした、確かにした。

が、シンプルで何にもオチのない、この「しょうもない」作品に、強烈な皮肉とメッセージ性を感じたりしたので、ちょっぴり調べてみたら、監督は1972年生まれの女性で、作品に対しては、「この映画は、極端な父権社会が男性間の同性愛の要因となるという仮説を映像化してみた(試してみた)ものである」というようなことを言っていて(多分……→元記事"Indiestory")、そのあたり、自分が感じた方向と(同じではないが)やや近かったので、納得がいった。

人権主義とは対極にある王権社会の中枢部に、語られず、歴史の表に出ず、でも確かに彼らは存在した。現代においても、特に男性(男権?父権?)社会であると言われる韓国の中で生きる少数派の人々を、まさにその「今」を、実はこの短編映画は見せようとしたんじゃないかと……。

→画像がたくさんある2006年LondonLesbian&GayFilmFestivalの作品紹介ページ

主演はOH Dae-suk(オ・デシク?)と、LEE Dong-gyu(イ・ドンギュ)。オ・デシクはよくわからなかったけれど、イ・ドンギュは、いつもお世話になっている、韓国映画の日本版IMDBとでも言うべき「輝国山人のホームページ」に行ってみたら、すぐ出てきた。『ワイルドカード』などにも脇で出ていたようだが、あの《欲望》(未公開)に、主人公夫婦の、夫側の恋人役で出ていた人らしい。


……クエスチョンマークだらけの無責任な文章、すみません。

2006.07.09

韓国インディペンデント映画2006

リンクできるサイトがまだほとんどないのですが、チラシを見ました。

韓国インディペンデント映画2006 8/19(土)~8/25(金) @シアター・イメージフォーラム

2006.07.04

盛夏光年予告

YouTubeに陳正道監督《盛夏光年》のトレイラーがアップされてるんですが……。
(単純に映画タイトルで検索すれば出てくる)

うーん、監督の言うとおり、青春物。とてもみずみずしい。

タイトル文字は王家衛作品風。

いきなりキスシーンだ。

もちろん、女の子とのラブシーンもある。女の子の飾らない雰囲気も良い。

昨日の台北電影節で、現在制作中の3本の台湾映画(《盛夏光年》のほか、陳懷恩監督の《練習曲》、ドキュメンタリー《雅芳小姐》)の、各々映像の一部が公開され話題を呼んだ……ということで、公式サイトにもニュースが出ている。

《盛夏光年》も、『真昼ノ星空』ぐらいに良いといいなぁ。

ところで、「東京ファンタ」が休止って→公式ページ

2006.07.03

変則黒社会物2態

朝日新聞の読書欄の中条省平の書評と、読売新聞の読書欄の町田康の書評が好き。日曜はそれが楽しみだ。そんなことを言っておいて違う人の書評なのだが、きょうの朝日新聞の読書欄に出ていた『江戸八百八町に骨が舞う』は買いたくなったなぁ。書評子の言うとおり「タイトルだけで買い」というのは全くそのとおり。時代小説ではなくて、これは本のサブタイトルにもあるがごとく、「人骨から解く病気と社会」というジャンルの本。でも、このタイトルを見ると、頭に舟木和夫の銭形平次の主題歌が鳴り響く(笑)。舞うのは銭じゃなくて、骨なのに……。

で、やっと『バックラッシュ!』も買えた。字がぎっしりで読みでが……。

眠い中、がんばってユーロスペースまで『真昼ノ星空』と『レイヤー・ケーキ』を見に出かけた。

王力宏には全く興味がないのだけれど、『真昼ノ星空』を見にいったわけは……。

元はと言えば、台湾の張孝全ファンサイトで、彼が兵役に出るよりずっと前から「中川陽介監督の「真昼ノ星空」に出る」という噂があり、この映画に関して情報を求めて、中川監督の過去の作品なども調べて待っていたからというのが最も大きい。でもキャストに関しては、途中から「王力宏と鈴木京香が出演」というニュースが流れ始め、とてもがっかりしたものだった

中川監督の作品は、監督の名前を知ったときには『Departure』の公開も終了していたし、『青い魚』も見ていない。張孝全くんの出演に関することが知りたくていろいろ調べていたはずが、監督は東京生まれでありながら、過去の作品ではいつも沖縄を舞台としていて、映画では「沖縄の裏路地の風景にこだわっている」ということを知ってから、がぜん映画自体に興味がわき、そりゃあ「もしかしたら、チョイ役で孝全くんが出るかもしれない」などという下心もあったものの、映画(というか中川監督の作品)を見るのを楽しみにしていたのである。

『真昼ノ星空』は、ドラマチックでもないし、かといってリアルな日常の空気を映し出したものでもない。日常と隣り合わせのファンタジーといったような映画だ。「ファンタジー」面をバックアップするのは、王力宏の下手さと不思議なさわやかさ。台湾黒社会の殺し屋が「仕事」の後に、しばらく潜伏期間を置くために隠れにやってきた沖縄での日々、というリアリティのかけらもない設定で、それに輪をかけて、殺し屋のリアリティなどみじんも感じさせない王力宏である。そこを引き締めて、地に足のついた人間の日常を見せてくれたのが、弁当屋と工事現場で働く(まるで、『いつか読書する日』の田中裕子のような)鈴木京香である。

実は、『真昼ノ星空』、すごく良かった。見終えたら、沖縄に行ってきたような気になったのだが、景色や美術を美しく撮ってはいても、風景ばかりが主張していない、必ず自然や街路が人と共にあるようなバランス感覚が、日本人監督っぽいなあと、街や自然を美しく見せる監督は多いけれども、そう思ったのである。

香椎由宇ちゃんの仏頂面にも見惚れた。

『レイヤー・ケーキ』は、めずらしい英黒社会物のエンタテイメント。登場人物が多くて、やや把握が大変だけれど、何も考えずに楽しんでいい、ひねりの効いた映画。あれだけ男(おっさん)が出てくると、香港映画あたりなら、みんな(どんなヘチャムクレなおやじといえども)それなりに濃くて色っぽかったりするのだが、この映画はかなりさっぱり目。『ダブリン上等!』の暴力刑事も出ている。

眠いので、寝ます。

『真昼ノ星空』は、もうちょっとちゃんと書けたら書きたいと思う。(←つか、きょうの書きなおせよ)

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