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2006.06.05

祝 Best Kiss

"MTV Movie Awards"、Best Kiss&Best Performance 決まりました。→BBC NEWS / 受賞結果 (ついでにバットマンビギンズもおめでとう)

さて、いつも拝見している「歩行と思索」さん(←さん付けするの、変ですか?)の、「BRUTUS」6月15日号からの引用の記事は怖い。笑える。もう、ひきつり笑いだ。……「ゴールド品格」って、それは冗談にしても、そのうち辞書にみたいに、皮革装版とか、表紙金文字箔押しプレゼント用とか、出るんじゃないか。で、この本に反感を持っている人間は強制収容されて洗脳されるの……。

本日は、日比谷にて『ココシリ』を見る。東京国際映画祭の上映のときは見損ねたが、大して後悔はしていなかった。今回も「見たくて、見たくて」見たわけではない。舞台は青海省ココシリ(可可西里)。NHK『新シルクロード』で「天空をゆく」とサブタイトルをつけられたあの青海省である。チベットカモシカの密猟をパトロールするチベット族の自警団の1人が殺された事件を追って北京から取材に来た記者が、パトロール隊に同行する話で、実話をベースにしているという。

で、何せNHKシルクロードのハイビジョン映像になってしまうぐらいの場所だからして、素晴らしい自然の風景である。山、砂地、空、吹雪……。BBMのブロークバック山も、大王のヒンドゥークシュも、音楽とともにめいっぱい「もうひとつつの主役」として堂々と映画を彩っていたのに、『ココシリ』では、景色なんかただの「背景」に過ぎないとでもいうように、音楽もつかなきゃ、ことさら謳いあげられることもなく、惜しげなく、ただ男たちの背後に仁王像のように静かな迫力で存在するだけなのだ。「いつもの景色じゃん、何てことはないよ」とでも言われているかのように、普通に撮られている。これに比べたら、『チベットの女』なんか、ほとんど観光ガイドのようなものじゃないか(まあ映画だから、「見せる」のが目的なわけで仕方ないのだが、あの素晴らしく質実で香り高い原作小説が嘘のような、絢爛たる風景描写は……)。

そして、その普通だったら目いっぱい撮りたくなるような圧倒的な自然をうっちゃって、撮られたのは日に焼けたチベット族の男たちである。だがしかし、まったくナチュラルじゃない。何がって、俳優たちが……。「俳優」っぽすぎるのである(←別に良いとも悪いとも言っていない)。主役級の人たちが、プロのきっちり勉強した俳優さんであることは、(いくらメイクしていても)顔や雰囲気の垢抜けた感じで良くわかる。クレジットを見ると、半分ぐらいは、チベット族風の漢字の文字数の多い名前の人がいたようだったから(読めるほど大きな字ではなかったが)、現地の人たちももちろん沢山参加しているのだろうが……。

でも、それが陸川っぽい。北京電影学院出身の映画好きの若手監督が、シンプルで大きなテーマを、今っぽく作品にしてみました、という感じがする。内容? 見どころを一言で言うと、中国版『ジェリー』(ガス・ヴァン・サント監督)か?(笑) 「公道まで5キロ」だし……。雄大な自然と社会派なテーマを、けっこうマニアックにちんけ(←別にけなしていない)な話として小ぢんまりまとめているところが、「らしい」なあと……。

女性の扱いは今一歩だ。大量のカモシカの皮を数えるところは、BBMの羊同様にCGか?などと思いながら見ていた。『ジェリー』を地で行く密漁団の老マーさんも良い味だった。そういえば、チベット族の言葉は字幕では<>(かぎかっこ)つきで表されているのだが、相手を罵る言葉が、韓国語に似ていて面白かった。

密猟者の首領がどこから来ているかは知らない(何語をしゃべっているから見落とした)。だが手下は、パトロール隊と同じチベット族の、地元の人なのだ。その、密漁者の手先となってカモシカの皮をはぐ仕事をしている男が口にする、「以前は放牧をしていたが、草原が砂漠になってしまったためできなくなった」(だから、今のようなことをせざるを得ないのだ)という台詞は、映画中で最も印象に残る。

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コメント

ウーさん、おひさしぶりです。
東京国際L&G映画祭で上映する『サマー・ストーム』とは『夏の突風』のことでしょうか?(「ぴあ」のサイトに出ていました)

さて『ココシリ』です。陸川監督作品はエンタテイメント性と「小づくり」なインディーズ感の融合したところが魅力ですが、私自身としては「好み」かどうかは何ともまだ答えが出ていません。もう1作ぐらい見るとわかるかな? 好みかどうかは別として、一定レベルの満足を保証してくれることは確かです。葬送の儀式のときには、何にもなくても、とにかくみんなでぐるぐる回るところが、チベット仏教っぽくて面白かったです。

"Best Kiss"は、そりゃあ4年ものですから、受賞は当然の「実力」といったところでしょうか?(笑)

こんばんは。
ベスト・キス賞、ほんとにとっちゃいましたね。ジェイクはベスト・パフォーマンス賞も受賞とのことで、なにはともあれ、めでたいことです。
「ココシリ」、いろんな意味で見てみたいです。イナカでも上映してくれるかどうか待ってる内に見逃しそうなので、やはり上京して見た方がいいのかなと検討中です。

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