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2006.05.06

ジャージ、隣人、バスの若者

日比谷で『ブロークン・フラワーズ』を見る。

結構混んでいた。窓口前に並んでいたときに、『ブロークン・フラワーズ』の回と『ブロークバック・マウンテン』の回の切符を続けて買っていた自分の前の老夫婦が、楽しまれたことをせつに祈る。

『ブロークン・フラワーズ』には、気になる俳優が出ている。ジェフリー・ライトと、ライアン・ドナヒューである。

Brokenflowers01ジェフリー・ライト(画像左)は、自分にはベリーズ(@『エンジェルス・イン・アメリカ』)の印象が強すぎて、またベリーズの人間性が大好きで、その印象がそのまま俳優に憑依してしまっている感じなのだが、今回は主人公のジャージ親父(ビル・マーレイasドン・ジョンストン)の隣人(ウィンストン)に相応しい、生活臭とコミカルな俗物っぷりを振りまいていて、またまた素晴らしかった。隣に住む、彼女に棄てられたやもめ男を思いやってのことか、単なる興味の趣くままにか、本来他人事であるピンクの手紙の真相究明計画を真剣に立てるウィンストンと、いやだ、やらないと口では言いながら、どんどん言われるがままに動き出す主人公2人の、「間」が楽しい。まあ、映画そのものが、そのおかしな「間」に支えられていたりするのだが……。

そしてもう1人は、俳優というよりもミュージシャンであるらしいライアン・ドナヒュー(Ryan Donowho)。《A Home at the END of the World》で、ボビーの兄カールトンを演じた超絶美形の若者で、今回の『ブロークン・フラワーズ』でもほとんど通行人に毛の生えた程度の、「バスの中の若者」という名もない役でちらっと登場するだけである。が、それにしては、バスに乗り合わせた若い女の子2人が彼を見て「カルバン・クラインのモデルみたい」と噂してくれたりして、このあたりは、主人公が今まさに息子(の母)探しの旅ようとする場面で、若い男を見ると「自分の息子かもしれない」と、微妙に意識し始めるその心理を、美しい彼が画面に登場することでより強く印象付ける形になる。別に美形が好きなわけではないので、ライアン・ドナヒューが好みだとか、演技が良いとかそういう話ではまったくないのだが、やっぱりAHATEOTWメンバーズは気になるのである。すっかり、ダラス・ロバーツも好きだし。

どこがジャームッシュかと言われても、過去に彼の映画を1本しか見ていないのでわからない。外しつつ、スタイリッシュな感じか、白~い感じか。映画を見て「人生は……」とか言わなくても、主人公が、最後に街で出会う若者に語っている言葉で十分な気がする。

Brokenflowers02メインディッシュというか、豪華女優陣演じる「昔の彼女たち」と主人公の場面よりも、前菜やデザート(現実)の場面、旅立つ前のウィンストンとのやりとりや、終盤、住んでいる街に戻ってきてから出会う旅の若者を息子と思い込むところなどの方が面白い。でもやっぱり、ビル・マーレイの、立っているだけでおかしい無表情の存在感は、映画の隅々にまで行き渡っている。キーワードの「ピンク」の色彩は、『アメリカン・ビューティー』の赤のように、全体に彩度を落とした映像の上にアクセントを添える。良い意味で、思ったとおり、予告どおりの映画である。

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コメント

ぐりさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

>ヨーロッパっぽい香り

やっぱり「間」と色彩でしょうかね? 監督の個性か? 女優さんたちは、みんなとってもアメリカンですしね(男優もか……)。音楽も非常に好きなんですが、これがヨーロッパの空気かというと決してそうではないですし。

そうですか、ということはラストは「息子」だったわけですね(笑)。

ビル・マーレイ、「ロスト・イン・トランスレーション」も良かったでした。

こんにちは。
コレ私も大好きなんですが、どことなくハリウッドっぽくないというか、ヨーロッパっぽい香りがしたのは気のせいでしょーかね。
バスの美青年はライアン・ドナヒューくんとゆーのですね。知りませんでした。ああいう「ステキな男の子」役を、いわゆるマッチョヤングマンではなくて、彼のようなほっそりした優雅なカンジの人が演じてるのがまたヨーロッパっぽいとゆーか。
ミュージシャンなのですね。なるほど雰囲気ありますね。

最後にクルマの窓からビル・マーレイをじーっとみてるぽちゃっとした男の子は実際にマーレイ氏のご子息だそーですが(笑)。マジ?

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