« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »

2006.05.29

かわくまもなし

どうしても浮上できず(→なら沈んだままでおとなしくしていろよ、と)。

雨の中、前を歩く見知らぬ女の子の服のコーディネイトを胸の中で呪いながら歩いていたら、罰(ばち)があったったのか、水たまりで滑って転んだ(いや、ファッションのことはよくわかりませんがね)。

『ウォーク・ザ・ライン』のDVDを発注するぐらいなら、インドネシアに寄付しろよと思いつつ、今にも注文してしまいそうな……。

作品として最初から最後まですべてを好きでなくても、「大好き」な映画がある。自分にとって、『ウォーク・ザ・ライン』と『ランド・オブ・プレンティ』はそういう作品で、どちらも、ストーリーそのものがオチまですべて好きなわけでは決してない。それでも、これらの映画のことを考えると、愛しくてどうしようもない気分になる。『ウォーク・ザ・ライン』なら、主人公の生い立ちと、劇中で歌われる熱のこもった歌と、登場人物たちの「途中」の「すったもんだ」が胸を締め付けるし、『ランド・オブ・プレンティ』なら、ミシェル・ウィリアムズの愛らしさと、何よりもベトナム帰りの伯父(ジョン・ディール)の迷妄とその「夢」が破れるやるせなさが素晴らしい(その後の911のくだりなど不要←と、不遜にもそう信じている)。

さてファンの方はとっくにご存知の、公共電視の人生劇展の単発ドラマが復帰第一作だというようなニュースも流れていた張孝全くんの本当の復帰第一作となる映画《盛夏光年》(5月半ばにクランク・イン済み→画像撮影中の記事)は、2004年の東京国際映画祭でも上映された『狂放』の陳正道監督の作品。タイミング的には、前作《宅變》の後のもののようだが、その陳正道監督(1981年生まれ!)が映画について語った日本語の記事がある。ここで書かれている《無伴奏》というのが、今回、張孝全くんの出る《盛夏光年》の企画段階での旧タイトルである。芸能報道では、男の子2人と女の子のラブストーリーで『藍色夏恋』と『ブロークバック・マウンテン』を足したような感じだと書かれていたりもしたが、監督は、リンクした光華雑誌の日本語の記事でも言っているとおり、あくまでも青春と愛情がテーマの若者の物語であり、「同志」の部分はことさら強調するつもりはないとのこと。

2006.05.25

映画祭続々

ドイツ映画祭2006の公式ページと、福岡アジア映画祭のラインナップ発表。

ドイツ映画祭、ことしもえらく興味深い作品がたくさんです。

2006.05.24

The Movie's Most Famous Line

5月19日に発売された、香港の歌手・何韻詩(デニス・ホー)のニューアルバム"Our Time Has Come"に、黄偉文(ワイマン・ウォン)作詞の "願我可以學會放低[イ尓]" という曲が収められている。

実はこのタイトルは、『ブロークバック・マウンテン』で後半ジャック・ツイストが吐く、あの有名な苦しい台詞 "I wish I knew how to quit you" の意味だという。

'Brokeback Mountain' inspires pop song (Turkish Daily News (AP通信の報道に基づいた22日付のトルコ紙の記事))

リンクした記事は、米国同様"Brokeback"が流行語(隠語)化したほどの(広がりを見せた)香港にあって、タイトルのとおり、BBMに影響を受けた歌までが生まれたという簡単な内容だが、マスコミが面白がって安易に使用する"Brokeback"(斷背山)という言葉が、ゲイの人々に対する特別視を助長するものだとする声もあると締めくくる。

記事には、BBMを思い起こさせるような内容の歌詞の一部を英訳したものが紹介されている。著作権に触れるので原詞をここに書き写すわけにはいかないが、曲のタイトルで検索をかけると、歌詞全文を載せちゃっている香港(?)の個人サイトなども幾つかあるようなので、中文がわかる人は興味があったら探して見てみてください。(もちろん自分には読解不能。でも記事中の "I can't control myself, I have made too many mistakes because of you, I know if I look for you again I'll have to give up my happiness" が原詞ではどこにあたるのかは、何とかわかった……(笑))

試聴のできるサイトで曲の一部を聴いてみると、これがまた、あの台詞がこんな日向ぼっこのような呑気なテンポの歌になっていいんかい……というような常道中華ポップスモード。冒頭しか聴けなかったので、その先旋律がどう変わっていくか実際にはわからないが、とりあえず歌い上げ系の大バラードではなさそうな感じで、それだけはよかった、かもしれない。それにしても、見事に歌詞のイメージなどどこ吹く風の曲調である。救いは、デニス・ホーの可愛くて落ち着いた良い声かな?

2006.05.22

これもまたファザー、サン

Lechiavidicasa02  Lechiavidicasa01

岩波ホールで『家の鍵』を見る。

誕生から15年会ったことのなかった、父ジャンニと障碍を持つ息子パオロが、「出会い」、関係を築いていこう手探りをする映画だが、障碍者と家族、親になることについてなど、重いテーマを淡々と突きつけてくる。

監督はジャンニ・アメリオ。監督の過去の作品を見たことはないが、調べてみると、人間味あふれる題材をリアルに描く作風らしく、本作も「映画紹介」レベルでは「愛と涙の感動作」的雰囲気を想像したりするが、実は非常に厳しい。そこが素晴らしい。父と子がぎくしゃくしながら少しずつ信頼を深めていく、という流れに間違いはないが、だからその後はうまくいくだろう、なんてことはひとことも言っていないし、父と子の様子を暖かい視線でとらえてはいるが、不安や罪悪感などから生まれるマイナスの感情も明確に描かれている。

特にそのマイナスの現実を、年輪を重ね洗いざらしたような美しさで語るのが、パオロの入院するベルリンの病院で出会う、障碍を持った女性ナディン(アッラ・ファエロヴィック)の母ニコール(シャーロット・ランプリング)である。

ニコールは、主人公の少年の父ジャンニと病院の休憩室で初めて出会うシーンから、障碍を持った子どもの面倒を見るのは女親であることが多く、男親は逃げてしまうという「現実」を語る。20年の長きにわたって娘のためだけに生きてきた彼女の、障碍を持っている家族に対する心構え、そして向き合わざるを得ない「母として人間として望ましくない」自己を表現する言葉は、日々の生活の中から出てきたはずのものなのに、抑制された台詞なのに、とても劇的だ。

「障碍者の家族」のベテラン、ニコールの落ち着きとは反対に、ジャンニはなかなか息子との間合いが計れない。それは当然だ、親子とはいえそれまでまったく会ったこともなかったのだから。そんな揺れる父親像を見事に演じているのが、ガエル・ガルシア・ベルナルを縦に伸ばしたような、美しいキム・ロッシ=スチュアートである。

「なついてくれた」と思ったら、黙っていなくなってしまったり、病室から追い出されたり、「ジャンニ」と紙に名前を書いてくれたと思ったら、家(それまで育ててくれたローマの家族の家)に帰ると言い出したり、ジャンニと息子パオロとの関係は、血がつながっているからといってそう簡単にいくものではない。

パオロを演じているアンドレア・ロッシの、ゆったりとしたペースで吐き出される詩のような言葉の1つ1つが感動的なのだが、見ている方は、この少年が、いきなり「父親」を名乗って現れた男を本当に信用するのか、愛するようになるのか、ジャンニが父親らしくしようとすればするほど、パオロが子供らしい顔を見せれば見せるほど、心配とともに醒めた目になっていく。

ラストシーンは、たとえ親子でも、守る者と守られる者であっても、人間関係は対等であり、人は(程度の差こそあれ)互いにもたれあって生きていることを教えてくれる。生まれたばかりの子供を置き去りにした罪悪感もあり、障碍を持つ家族への接し方の難しさもあり、パオロの父親として生きる覚悟を決めるまでに時間のかかったジャンニと息子パオロは、しかしむしろ父親と息子としてではなく、どちらがどちらを保護するということではなく、一個の人間対人間として互いに弱みをさらけだし慈しみながら、徐々に絆を深めていくのだろう。そんなことを考えさせてくれる終わり方である。

イタリア映画で、主人公たちはイタリアに住みイタリア語で話すが、舞台であるヨーロッパの面白いところは、行く病院がベルリンにあり、そこに行けば当然使われている言葉はほとんどドイツ語で、入院患者の1人であるナディンと母ニコールはリヨンから来ているフランス人。後半、ジャンニとパオロが車で出かけるのは、ノルウェー。異なる国、異なる民族、異なる言語が同居するヨーロッパだからこそ、個の重さとコミュニケーションの重さが説得力を持つ。

重たい内容でも、監督の本当に見事な手さばきと、パオロ(アンドレア・ロッシ)の可愛さと、ジャンニ(キム・ロッシ=スチュアート)の美形っぷりと、ニコール(シャーロット・ランプリング)の存在感と美しさによって(かどうかは知らないが)、イタリアでは大ヒットしたのだそうだ。

いや、ソル・ギョングとムン・ソリの絵柄(←失礼か?)で大変な評価を受けた『オアシス』の作品としての力は、さらにさらにすごいものだったのだなと、キム・ロッシ=スチュアートとシャーロット・ランプリングが余りにきれいだったので、まったく違う内容なのに思わず比べてしまったバカである。

ホリングハースト TVドラマ化

いつも読ませていただいている「見てから読む?映画の原作 」に、先週出ていた情報。

スイミングプール・ライブラリー』(早川書房刊)の著者アラン・ホリングハーストの、2004年のブッカー賞受賞作"The Line of Beauty"が英BBCでドラマ化され放映が始まったそう(脚本はアンドリュー・デイヴィス!)。

"The Line of Beauty"は邦訳では出ていないので未読だが、『スイミングプール・ライブラリー』はとても厳しく辛い話だった。

BBCのドラマのホームページはやたらときらびやかなのだが、これもまたきつい話なのだろうか。DVDにでもならない限り、見られなさそうだ。せめて日本語訳の本が出てくれれば……。

2006.05.16

中華風西部劇

こう思えば、多少興味もわくかもれない『ココシリ』→ちょっと前ですが、町山さんの笑えるレビュー

その町山智浩氏の記事によると、アメリカでは『ココシリ』は、"Chinese Western" ってな宣伝のされ方をしたんだと。

東京国際映画祭の上映時に見損ねたので、その実態はわからないけれど、何かやっぱり日本だと、中国映画って大自然&感動系という宣伝になっちゃうのか。

いや、何で『ミッシング・ガン』の陸川(ルー・チューアン)監督がいきなりNHKみたいな映画を撮ったのだろうと、これまで見てもいないのに不思議に思ってきたのだが、『ココシリ』がこのレビューのとおりなら、しっかりくっきり『ミッシング・ガン』系統なわけで、監督色は明瞭、理解できるというものだ。

で、個人的には『ミッシング・ガン』が好きかというと、映画を見た当初は面白いと思ったのだが、いかんせん、じわじわじわじわと、なぜかその後(『ミッシング・ガン』の主演俳優でもある)姜文(チアン・ウェン)が苦手になってしまったので、その影響で『ミッシング・ガン』に対する印象も何となく居心地の悪いものになった。

姜文が出ている作品を見ると、なぜか「この役が姜文でなければ(良かったのに)」と思ったりすることが多いのだ。味のある素晴らしい役者さんなんだけれども……。

『ココシリ』、このポスターなんかインパクトがあって良いと思う。日本でうけるような洗練された絵柄じゃないけれど……。
Kekexili_1

で、陸川監督、南京大虐殺の映画はどうなったのだろう。

余談ですが、台北電影節のオープニング作品(カナダ映画《C.R.A.Z.Y》)、えらく面白そうです。"Magical, mystical, demure but sexy, funny, touching, and ever so crazy..."って。シノプシスを見た限りでは、これもある意味「ファザー、サン」でしょうか?

2006.05.13

キスシーン賞最有力!?

"MTV Movie Awards 2006(MTVムービー・アワード2006)"の受賞者が6月3日に決定する。MTV主催で1992年から開催されているこの賞の面白いところは、すべて一般のファンの投票で決まるというところと、通常の作品賞や俳優の演技に対する賞のほかに、"Best Kiss(キスシーン賞)"とか"Best Villain(悪役賞)"とか"Best Frightened Performance(恐怖演技賞)"とか"Best Fight(バトル賞)"などという変わった賞のあるところ。

(詳しくは allcinema ONLINE の「MTVムービー・アワード」の解説ページ(トップページの左サイドバーのリンクより)などをご覧ください)

で、この賞のからみで米国のギャンブル情報サイトに、「『ブロークバック・マウンテン』、MTVキスシーン賞なるか?Can Brokeback Mountain take Best Kiss at this year's MTV Movie Awards?)」という記事が出た(笑)。なぜギャンブル情報サイトかというと、米国にはオンラインで賭けをオーダー(?)できるサイトがあるらしく(記事中にはそのウェブサイトへのリンクがある)、この賞も賭け対象となっており、オッズが発表になっているからである。(この賞に限らず、競馬とかスポーツといったよくある賭け対象のほか、『ダ・ヴィンチ・コード』の全米初登場のBOX OFFICEがどうなるかを賭けるものまで存在する)

リンクした記事にあるように、ことしの"MTV Movie Awards"の"Best Kiss(キスシーン賞)"のノミネート作のうち『ブロークバック・マウンテン』は、他の追随を許さず断トツの一番人気。記事の中からオッズの部分を書き出してみると……

ジェイク・ギレンホール&ヒース・レジャー~『ブロークバック・マウンテン』 / 1 to 6.67
タラジ・P・ヘンソン&テレンス・ハワード~《 Hustle & Flow 》 / 4 to 1
アナ・ファリス&クリス・マーケット~《 Just Friends 》 / 6 to 1
アンジェリーナ・ジョリー&ブラッド・ピット~『Mr. & Mrs. スミス』 / 6 to 1
ロザリオ・ドーソン&クライヴ・オーウェン~『シン・シティ』 / 4.5 to 1

ということなのだが、自分はこの右側のオッズの数字の見方がわからず、さっぱり意味不明だったので調べてみた。

BBMのジェイクとヒースのキス・シーンは "1 to 6.67"で、これは「 6.67賭けると1増える(もうかる) 」ということらしい。賭け金の単位は1ドルなのか100ドルなのかよくわからないが……。2番人気の《 Hustle & Flow 》のタラジ・P・ヘンソンとテレンス・ハワードのキスシーンは "4 to 1"で「1賭けると4増える(もうかる)」の意味。『シン・シティ』のロザリオ・ドーソンとクライブ・オーウェンのキス・シーンは "4.5 to 1"。「1賭けると4.5増える(もうかる)」わけで、大きな数字が先に来ている場合は、単純に大きな数字が「倍率」というイメージでいいようだ。逆にBBMのように1が先に来ているオッズは、非常に人気が高い(から賭けとしてはもうからりにくい)わけで、こんな数字にも、米国でBBMがいかに話題になったかがよく表れている。

ついでにすごく気になるのが、キス・シーンを演じている俳優の名前の表記順……。(だって、ほかの映画、みんな女優さんが先なんだよ。これ、どういう意味だよ。気にしすぎか?) MTVの公式サイトも同様の表記→Best Kiss。(リンクした公式ノミネートのページでは、各映画のキス・シーンが見られる)

ほかに"MTV Movie Awards 2006"では、BBMは"Best Performance(パフォーマンス賞)"でジェイク・ギレンホールがノミネートされている。作品賞にはノミネートされず、俳優部門もヒース・レジャーじゃないあたり、若い人たちの人気投票という色合いが強いというこの賞ならでは、ということか。面白いです。

※2006年の全部門のノミネート→MTV JAPAN.comのシネマニュース。(MTVの米公式サイトでは、投票もできる)

MTV JAPAN.comによると、授賞式は6月24日(土)22時~25時にMTVでオンエア予定とのこと。セクシー演技賞でノミネートされているジェシカ・アルバが司会を務めるというニュースも出ていた。セクシー演技賞には、ジェシカのほかに『SAYURI』でチャン・ツィイーもノミネートされている。個人的には、ヒーロー賞と悪役賞を『バットマン・ビギンズ』になどと思うが、このジャンルは強敵が多いから難しいところだろうなあ。

2006.05.06

ジャージ、隣人、バスの若者

日比谷で『ブロークン・フラワーズ』を見る。

結構混んでいた。窓口前に並んでいたときに、『ブロークン・フラワーズ』の回と『ブロークバック・マウンテン』の回の切符を続けて買っていた自分の前の老夫婦が、楽しまれたことをせつに祈る。

『ブロークン・フラワーズ』には、気になる俳優が出ている。ジェフリー・ライトと、ライアン・ドナヒューである。

Brokenflowers01ジェフリー・ライト(画像左)は、自分にはベリーズ(@『エンジェルス・イン・アメリカ』)の印象が強すぎて、またベリーズの人間性が大好きで、その印象がそのまま俳優に憑依してしまっている感じなのだが、今回は主人公のジャージ親父(ビル・マーレイasドン・ジョンストン)の隣人(ウィンストン)に相応しい、生活臭とコミカルな俗物っぷりを振りまいていて、またまた素晴らしかった。隣に住む、彼女に棄てられたやもめ男を思いやってのことか、単なる興味の趣くままにか、本来他人事であるピンクの手紙の真相究明計画を真剣に立てるウィンストンと、いやだ、やらないと口では言いながら、どんどん言われるがままに動き出す主人公2人の、「間」が楽しい。まあ、映画そのものが、そのおかしな「間」に支えられていたりするのだが……。

そしてもう1人は、俳優というよりもミュージシャンであるらしいライアン・ドナヒュー(Ryan Donowho)。《A Home at the END of the World》で、ボビーの兄カールトンを演じた超絶美形の若者で、今回の『ブロークン・フラワーズ』でもほとんど通行人に毛の生えた程度の、「バスの中の若者」という名もない役でちらっと登場するだけである。が、それにしては、バスに乗り合わせた若い女の子2人が彼を見て「カルバン・クラインのモデルみたい」と噂してくれたりして、このあたりは、主人公が今まさに息子(の母)探しの旅ようとする場面で、若い男を見ると「自分の息子かもしれない」と、微妙に意識し始めるその心理を、美しい彼が画面に登場することでより強く印象付ける形になる。別に美形が好きなわけではないので、ライアン・ドナヒューが好みだとか、演技が良いとかそういう話ではまったくないのだが、やっぱりAHATEOTWメンバーズは気になるのである。すっかり、ダラス・ロバーツも好きだし。

どこがジャームッシュかと言われても、過去に彼の映画を1本しか見ていないのでわからない。外しつつ、スタイリッシュな感じか、白~い感じか。映画を見て「人生は……」とか言わなくても、主人公が、最後に街で出会う若者に語っている言葉で十分な気がする。

Brokenflowers02メインディッシュというか、豪華女優陣演じる「昔の彼女たち」と主人公の場面よりも、前菜やデザート(現実)の場面、旅立つ前のウィンストンとのやりとりや、終盤、住んでいる街に戻ってきてから出会う旅の若者を息子と思い込むところなどの方が面白い。でもやっぱり、ビル・マーレイの、立っているだけでおかしい無表情の存在感は、映画の隅々にまで行き渡っている。キーワードの「ピンク」の色彩は、『アメリカン・ビューティー』の赤のように、全体に彩度を落とした映像の上にアクセントを添える。良い意味で、思ったとおり、予告どおりの映画である。

« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »