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2006.04.07

スティーヴ、スティーヴィー

Steviecat

スティーヴィー』はどんな映画か。

親族の幼女への性犯罪により有罪判決を受けた若者の生い立ちを描いた作品。

幼児期に母親から虐待とネグレクトを受け、貧困と孤独といじめの中で育った青年の人生を追った作品。

どちら側から紹介されるかによって、見る側の最初の意識は全く違うだろう。でも、これは加害者であり被害者でもある20代半ばの若者、スティーヴィー・フィールディングを映した1本のドキュメンタリーである。

そして監督みずから悩みながらスティーヴィーの側に寄り添い、人がどうやって人と関わっていくかを模索しつづける日々の記録でもある。スティーヴ・ジェームス監督は、傑作と言われるドキュメンタリー『フープ・ドリームス』(1994年)やジャレッド・レト主演の劇映画『プリフォンティーン』(1997年)を送り出した人で、この『スティーヴィー』(2002年)は、監督自身が1980年代の大学時代に、米イリノイ州で「ビッグ・ブラザー」(※)として出会った11歳の少年スティーヴィーとの、10年後の再会の場面から始まる、プライベートな人間関係を題材にした映画だ。

(※)虐待や貧困といった環境下にある少年少女の「友人」(ビッグ・ブラザー/ビッグ・シスター)として人間関係を結ぶことにより、子供たちを精神的に支えようとする米国のボランティア制度

というような書き出しでもう大分前に感想を書こうと思って、挫折した。上には、この『スティーヴィー』というドキュメンタリーの中でもっとも寂しく、もっとも印象に残った、スティーヴィーの子ども時代の画像を貼ってみた。

もう1回見にいこうと思っていたのに、終わってしまっていた。

と思ったら、大阪での上映の後、東京でも数日間の短い再上映(場所は前回のポレポレ東中野から変わって、渋谷アップリンクX)があるそうだ(スティーヴィー通信による)。

犯罪の加害者側の人間像を丁寧に追っているという点で画期的な作品、ということで上映が難しかったり、逆にその真価を認められて上映に至ったり、このドキュメンタリーもまた "controversial" な作品の1つである。

監督は、映画制作とは別の部分で、なりゆき上、性犯罪の加害者の側の人間関係の中に立っていた形なのだが、主人公スティーヴィーのガールフレンドの親友を訪ねる場面で、ガールフレンドの親友が語る切実な体験によって、被害者側の人生と心に刻み付けられる傷がどのようなものなのかということも、映画の中に収めることに成功した。

犯罪者となってしまったスティーヴィーを虐待した母親もまた、傷を負っている人間である。映画の終盤、収監されているスティーヴィーと母親の面会シーンがあるが、長い間ぎくしゃくした関係にあった母子が、しっかりというよりはどこかおずおずと抱きしめ合う映像は、不幸な境遇の中であえぐ人間に、細く弱いながらも何か希望の蜘蛛の糸のようなものを落としてくれている気がする。

この映画は親子や兄弟姉妹という家族関係についてだけではなく、何よりも、(血縁という意味に対しての)「他人」が人にどうかかわるかという、かかわり方の1つを、監督みずからが示してくれているように思う。とにかく寄り添うこと、とにかく側にいること、とにかく関心をもつこと、そしてそう告げること。簡単なようで難しい。でも、難しいようでいて、単純なことなのだ。

スティーヴィーにはほかにも、祖母や妹、彼を愛してくれた里親といった彼の人生の上での重要な存在がまだまだある。もう1度見たら、何か書けるだろうか。ぐうたらだから、なかなか感想をまとめられないのだが……。

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