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2006.02.12

Go for more 'Broke'? Maybe

タイトルは、ひとつきほど前のこんな内容の記事です。

10日、いつも拝見しているこちらのWeblogで、ついに「二遊間の恋―大リーグ・ドレフュス事件」ようやく映画化へ?」というエントリが上がった。ソースは記事内のリンクのとおり、小説の作者ピーター・レフコートのホームページからだろう。このトップページの左サイドのレフコート本人からの「近況報告」欄は、この手のサイトにはめずらしく割合まめに更新されていて、今回の朗報の内容は、多分2回ほど前の更新で可能性として漏らされていたもの(プロデューサーの名前とか、脚本のこととか)の確定バージョン、という感じだ。原作者の手による映画の脚本もすでに出来上がっているそうで、5回目の企画にして今度こそ本当に、愛娘に晴れの日が訪れるか(←この比喩は本人が前に書いていたもの)といったところ? ブラッド・ピットがゲイの役柄を演じることに興味を示しているらしい、という本当か冗談かわからないニュースもあったが、5年ぐらい前までならランディの役あたり最適だっただろうが、今はちょっと無理だよね。

実際、断背山もそうだが、これらの映画化企画はほとんどがみな「構想10年」レベルの長いタームのもので、トップにリンクした記事の中にも作品名が挙がっていた、パトリシア・ネル・ウォーレンの『フロント・ランナー』もまた同じだ。実は、きのう初めてその『フロント・ランナー』の公式サイトに行ってみたのだが、断背山全米公開の数日前の日付で、作者ウォーレンが " The Front Runner vs. Brokeback Mountain? " というタイトルの、断背山に関するコメントを出していてびっくりしてじっくり読んでしまった。レフコートも何度も自サイトの「近況報告」欄で断背山について触れているが、ゲイをテーマにしたベストセラー小説の作者にとって、『ブロークバック・マウンテン』という小説の映画化は決して対岸のできごとではないのだろう。ウォーレンのコメントの論旨は、彼女の30年前の名作の熱狂的なファン――小説『フロント・ランナー』がゲイをテーマとした作品として、ポルノでもインディーズでも単なるアート作品でもなく、メインストリームで成功した最初の映画としてのフロント・ランナーたりえなかったこと(=『フロント・ランナー』より後に発表されているプルーの『ブロークバック・マウンテン』に先を越されたこと)への失望の声をあげた多くのファンに向けて、映画『ブロークバック・マウンテン』をサポートしていこうよというもので(記事は封切前にアップされたもの)、それが映画『フロント・ランナー』の実現につながっていくことを説いていた。

コメントの中で面白いのは、過去に『フロント・ランナー』の映画化に興味を示したプロデューサーたちはみな、(断背山がそうだったように)ロウ・バジェットの制作者だったが、1976年のモントリオール五輪がクライマックスの舞台となるこの小説の映画化には、「低予算」では無理なのだというあたりだ。映画化に関しては、そういった予算の問題だけでなく、社会背景とラブストーリーと陸上の世界が深くからみあってできあがっている小説だけに、脚色もまた難しいのではないかと思われる。

折りしも今はトリノ五輪の開幕直後。そして、米アカデミー賞では断背山のライバルである『ミュンヘン』、――オリンピックでの暗殺事件と言われたら、背景こそ違うものの『フロント・ランナー』を思い浮かべずにはいられないエピソードから始まるその映画が公開中だ。スピルバーグの映画は、テレビ放映を見る以外では劇場まで見にいったことは一度もないのだが、過去の五輪をどうやって映画で描くのか、そんな角度からなら興味がわく。

最初にリンクした記事やレフコートのコメントで述べられていたのは、断背山の作品評価以上に、特に低予算作品としては非常に効率的な興業成果を挙げていることが、ほかの「まだ見ぬ」映画の実現につながるのだということだ。制作者たちは、ホモフォビックではなくリスクフォビックなのだという。まあ、確かに「もうかるなら、つくるよ」というのはわかるが、ちょっとこのあたりの制作者の言い分はレトリックくさい感じもする。断背山は、好評を受けてぐっと公開館数が増えたあたりから、集客率がだいぶ落ちてきているという。今後、ハリウッドで同性愛をテーマとした映画の制作が増えていくのかどうかはわからないが、冒頭の記事やレフコートのコメントで書かれていたことの中に、もう1つ、断背山の影響として確実ではないかと思われることがある。曰く、断背山以後、ハリウッドの俳優たちにとって、ゲイの役柄を演じるということは、実力を示すことにつながりこそすれ、決して過去に言われてきたようなキャリア上の傷になるというようなことはなくなっていくだろうと……。

かつての映画化の企画の際、ハーラン・ブラウン役はポール・ニューマンだったそうなのだが、どうだ、ブラピ?(笑)←いや別に、自分はブラピは好きではないです

下の画像は、2月10日朝日新聞夕刊の全面広告。
BBM20060210A

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コメント

ウーさん、こんばんわ。

中東萌えで「ミュンヘン」とは、さすがウーさん(笑)。きっと日本でウーさんただ1人でありましょう! 私は、予告のあの語りが嫌で嫌で……。「ミュンヘン」に限らず、森本レオさんとか、田口トモロオさん系の、ゆっくりささやいて感動を煽る予告ナレーションやタイトル読みは、ちょっと苦手です。でも「ミュンヘン」は上記のような理由で見にいきたいと思っています(笑)。

さて、いよいよ来週は、大ジョナサンことダラス・ロバーツが(たぶん)結構重要な脇役で登場する「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」が封切りです。そしてしばらく先のGWですが、ボビーの超美形兄貴カールトンことRyan Donowho(ライアン・ドナヒュー?)が(たぶん)ちょい役で出演する、ジム・ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」が公開。大王つながりでは、ヴァル・キルマーの出る「キス・キス バン・バン」が4月8日公開で、アジアの映画はいったいいつ見たらいいんだ!という……。

チャン・ジンの「小さな恋のステップ」も、(当然、チャン・ジンゆえに)見たいんですが……。まだやってるのかな?

こんばんは。
いや連日話題が盛りだくさんでいろいろ楽しみですね。
こちらではおととい「ミュンヘン」が公開になり、見てきました(さすがスピルバーグの映画。地方でもちゃんと上映してくれます)。
さて、その「ミュンヘン」ですが、最初の方に、なんと「カップ・ファイナル」で主役(イスラエル人捕虜のほう)を演じた、モシェ・イヴギが登場してきます。「カップ・ファイナル」から15年たち、すっかりおじさんです。これがこの映画での最大の収穫でした(……って、いいのかそんなで!)。

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 映画『ミュンヘン』観てきました。  午前中に歯医者に行き、会社で少々仕事をした後。  ストーリーですが、ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手団がパレスチナゲリラにより殺害され、その報復のためイスラエルから暗殺チームが送られ・・・という話です。  監督はスティーブン・スピルバーグ。それにしてもスピルバーグ、今回の映画では「シンドラーのリスト」の・・・とつけられている。「ET」「ジュラシック... [続きを読む]

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