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2006.01.29

思わず引き込まれる

昨晩、NHKBSでやっていた『流れる』(頭30分はNHK本体のヘッジファンドのアレを見てました)。そういや、今は、テレビドラマは連続だろうが、単発だろうが全く見ないのでわからないが、昔のテレビドラマってみんなこんなだったよなと思う……。川端と路地の風景のほか、ほとんど室内の台詞のやりとりのみで進行する(決してミニマルではないが)ミニマルな印象の映画なのに、このただならぬ吸引力は、演出と編集と脚本のすごさ、なんだろう。別に面白い話じゃないのに、目が離せなくなってしまうのだ。最初は、出てくる人出てくる人、大女優ばかりであっけにとられて見ていたはずが……。しかも皆、名演。そして、栗島すみ子とか、賀原夏子あたりの脇がまた、強烈なインパクトだ。いや~、すごい。

このところ本当に、断背山の検索でのアクセスが多い。でも、検索からのアクセスというのは……自分を振り返ってみてもわかるが、たくさんの検索にひっかかったサイトの中から、例えば気になる10サイトにアクセスしても、真剣に読むのは1~2サイトが良いところだ。RSSリーダーに何百サイト登録してあったって、本当に好きで読んでいるのは数サイトだったりする。アクセスカウンタなどは、ある程度標準的な仕様というのはあるにせよ、カウンタ・プログラムを作る立場になって考えてみればわかるが、どういうアクセスを1カウントと数えるかによって、その数値の上がり方は全く違う。1日数千、数万アクセスという大サイトなら話は別だが、1日数十から数百アクセスといったレベルの一般的な個人サイトにあって、カウンタやアクセス数などというものは、自分の励みになるという程度のものであって、数値的には余り意味がないと思っている。たぶん、好意あるいは悪意を持って真剣に読んでくれるアクセスというのは、日々のアクセス数の1~5%ぐらいなんだろう。そして一番真剣かつ頻繁なアクセスをしているのはきっと自分だろうというのが、最も情けないところなのだが。

自分はここで(ブロークバック……が長いので)勝手な略称(愛称)として「断背山」と書いているが、ご存知のごとく香港・台湾での公開タイトルは"斷背山"である。大陸では、公開されるのかされたのかわからないが"断臂山"(八面六臂の「臂」)である。気になって海外を見てみたら、さすが長いタイトルをつけるのが好きなフランスは、"Le Secret de Brokeback Mountain"(~の秘密)。イタリアの"I segreti di Brokeback Mountain"、ブラジルの"O Segredo de Brokeback Mountain"なども同じタイプだった。そういえば昨日(28日)の朝日新聞夕刊には、李安のゴールデン・グローブ受賞の写真と「台湾の光」という記事が出ていた。米アカデミー作品賞でもとったら、大変なことだな。(昨日の新聞で一番気になったのは、(朝日では地方版扱いの)この馬鹿な話題(リンクは毎日)。もっともニュートラルであるべき行政が何を言うか(って、あんなチヂを選んでいる都民が悪いのね))

珍しく、試写会に当たる。『ジャーヘッド』(2月6日)。この手の映画は、原作を読んでから見る方がよくわかる気がするが、問題は段取りの悪い自分が開映時間に間に合うように仕事を切り上げられるかということだ。

【追記】

中国での断背山上映はなし、というニュースが一昨日すでに出ていた。反日感情を煽りそうだという理由で『SAYURI』も上映される可能性は低いとのこと。うーん。

以下は映画監督組合賞での監督と俳優(28日)→ロイター
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2006.01.25

本日記者会見

って、ライブドアでもヒューザー(→絶対、ライブドア捜査&堀江逮捕のこのタイミングは耐震偽装事件隠しだろう……)でもなく、本日、李安導演の来日会見があるそう。→「海から始まる」さんの記事。こちらのブログはプロの方が書いておられるのだが、このピックアップはさすがだ~と(BBM関連で)思ったのは、早い段階でミシェル・ウィリアムズをとりあげていること→記事。自分も、『ランド・オブ・プレンティ』での彼女の不思議な魅力にびっくりし、さらにBBMの予告編やスチールなどから垣間見る『ランド・オブ・プレンティ』との全く異なる雰囲気に驚いたクチで、この女優さんの動きは注目かもしれない。BBMは賞レースだけでなく、BOX OFFICEでも世界的に好成績で、台北では公開初週の週末は1位。イギリスでは4位だし、全米でも5位に上がってきた。どこまでいくのか。

【追記】1/25記者会見のレポート(CINEMA TOPICS ONLINE

2006.01.17

Paradise Now

……が外国語映画賞(ゴールデン・グローブ)ですね。作品賞、監督賞、脚本賞と主題歌賞は断背山がとりました。

主演男優賞はフィリップ・シーモア・ホフマン、主演女優賞はフェリシティ・ホフマン(ホフマンのペア……)。

http://ent.sina.com.cn/m/2006-01-17/0645961750.html

【追記】訂正
漢字が似たようなものだからって、幾ら職場の昼休みの、こっそりエントリだからって、適当な記憶でいいかげんなことを書いちゃあいけません……。
フィリップ・シーモア・ホフマン→ Philip Seymour Hoffman
フェリシティ・ホフマンハフマン→ Felicity Huffman
ですね。
そして作品賞、主演男優賞、主演女優賞は、それぞれドラマ部門(ご存知のごとくコメディ・ミュージカル部門は別)。
監督賞、脚本賞、主題歌賞は映画部門(テレビドラマ部門は別)。

2006.01.14

集英社文庫『ブロークバック・マウンテン』2月17日発売

E・アニー・プルーの原作が、集英社文庫にて『ブロークバック・マウンテン』というタイトルで2006年2月17日に発売予定(集英社のサイトより)。ああ、ハードカバーじゃなくてよかった(通勤読書にハードカバーはつらい)。訳は、プルーの『オールド・エース』の訳者でもある米塚真治氏。

でも、まさか、よもやまさか、1編だけじゃないだろうな、これ……。「短編集」だろうな~。"Close Range"の短編全部収録されているんだろうな~。されてなかったら、怒るよ。といいつつ、実はこの400円という価格とタイトルに、「短編集」ではない匂いを感じ、かなり諦め気分の自分である。ワイオミングの11の物語を全て日本語にしてくれるのは金原さんだけなのか!(笑)→自分の記事

まあとにかく、彼女のほかの作品を読んでいない方、ぜひこの機会に『ブロークバック・マウンテン』で、その独特の文章世界を味わってください! もちろん、映画を見てからでもいいでしょうが……。


通勤読書といえば、電車やバスの中で、側に来た人が読んでいる本のタイトルを予想するのは、ちょっとした楽しみでもある。中がちらっとでも見えればその字面から、中が見えなければ装丁などから……。

先日は、大好きな『ドクトル・ジバゴ』のジュリー・クリスティのような髪型をした若いお嬢さんが、自分の立っている前の座席に座って、それは熱心にひざの上のハードカバーに視線を注いでいた。彼女の髪型だけでも自分的には好感度大なのだが、ハードカバーを真剣に読んでいるとなれば、さらに興味が湧く。本の上の文字に目をこらしてみる。するとそこには「オカン」の文字。ええ゛ーー。リリー・フランキーかよ~。

幸運にも、彼女はラストページを読んでいたらしく、その場で自分の予想の当たり外れを確認するチャンスを得た。奥付の文字はもちろんあの大ベストセラー。読んではいないが、別に『東京タワー』に恨みはない。ただ、せっかくの「知的な美女風」も、ベストセラー本を読んでちゃ台無しだと、偏屈な自分はがっかりしたのであった(笑)。え、大きなお世話?

2006.01.12

書きかけの感想、断背山など

◆断背山、日本では3月4日に封切日が決定(シネマライズのサイトより)。日本公式サイトもできた(日々お世話になっている劇場公開映画リンク集のサイトより)。

町山智浩氏は自分のサイトでも断背山について書かれているが、抜群に面白いのは毎週出演しているTBSラジオ『ストリーム』の「コラムの花道」のコーナーでの本作の紹介。ダウンロードしてたっぶり聞ける。論旨はほとんどみうらじゅん状態だ(笑)。

このあたりの話をさらにシリアスにグレードアップして論じているのは、海外小説の翻訳などもされているジャーナリスト、北丸雄二氏の自身のサイトでの記事。ヤオイ女に厳しいこんな記事もアップされている。職業として物を書いている人間の心構えとなれば「他人事」かもしれないが、ヤオイ根性のお気楽さへの指弾と取れば、(自分を含め多くの人が)読んで馬耳東風ではいられないだろう。


◆今さらながら、昨年のフィルメックスの書きかけの感想などを、このままだと決して続きが書けそうもないので載せてみる(すみません!)。このほかにも何本か見ているのだけれど……。

『サグァ』。カン・イグァン監督。韓国映画。2005年作品。シネカノン有楽町で見たのでQ&Aはなし。平凡に始まり、どんどん怖くなり、愛の幻想を描いたものかと思いながら見ていたら、やや甘めのラストがやってきて、自分の解釈が違っていたと気付く。カタログなどを読んでも、確かに監督は「人が誰かを愛する過程」と「それがどういうことなのか」を描いたと言っているが、うーんそんなテーマだとしたら、(こんなことを言うのは差別的かもしれないが)男性的だなぁ、甘いなぁ、と思った。まあ、そんなふうに思ったのはラストだけで、それ以外は、女性(妻)が妊娠していようが、子どもを産もうが、そういう状況と男女の関係を全く切り離し、夫婦や夫婦のまわりの人間たちの「固対固」の関係に的を絞った描写が非常に新鮮で、面白いと感じた。ムン・ソリのすごさはもちろんだが、相手役のキム・テウもすごく良い。でも、あんなリアルな人間関係を2度は見たくない気がする。見た人は誰もが、胃の腑の重くなる思いがしたんじゃないかと思う。……でも、監督意図どおり、(ラストを、ある意味での到達点として)愛にたどり着く過程を描いていると思えば、作品全体の見え方も変わってくるのだろう。自分は監督意図とは別の見方をする方が、殺伐とはしてしまうがぐっと興味深いと思った。

『地獄』。中川信夫監督。日本映画。1960年作品。おなじみの、閻魔様がいて、業火が燃えたぎり、血の池があり、賽の河原のある、あの地獄を描いた後半よりも、登場人物が地獄に落ちる因果を描く前半の、人の世の生臭さ、はかなさ、冥さの方が、まさに「地獄」といった感のあるカルトな作品。ぜひ『思春の泉』とともにぜひDVD化してほしい(笑)→追記:DVD化されている。今回のフィルメックスでは『私刑(リンチ)』と合わせて3本の中川作品を見たが、たった3本でも同じ監督の作品とは思えないこのジャンルと表現の幅広さは何なんだ。主人公の清水四郎(天地茂)を、悪魔のささやきで地獄へ誘う大学のクラスメイトの田村(沼田曜一)が素敵♪ 地獄という概念は人間が本来持っている罪の意識を救済するために人が生み出した概念で、だから、どの宗教にも必ず地獄思想があると、映画の冒頭、主人公清水の学ぶ大学の教授(清水の婚約者の父でもある)が講義で述べる言葉が印象的だ。しかし、三ツ矢歌子って、あんなに可愛かったんだ~。びっくりだ。 追記:中川信夫監督の作品は、2006年2月のベルリン国際映画祭のForumで特集上映される。

『落ちる人』。フレッド・ケレメン監督。ドイツ/ラトビア映画。2005年作品。中川監督の『地獄』を見た直後、フィルムセンターから急ぎ足で朝日ホールに向かったのだが、上映開始に間に合わず、肝心の冒頭の人が「落ちる」部分を見逃す。しかし、ほとんど『地獄』の続きとも思えるような、これまた因果がめぐる不思議な話で、しかも「落ちる」がキーワード。落ちる先は地獄かもしれないし、日常かもしれない。そんな意味でも面白かった。河から身投げをする女性を目撃した文書保管所の事務員が、見ず知らずの彼女の身投げの原因を探っていくという映画。Q&Aの中で監督が語っていた「落ちる」に関してと、なぜ警察でも探偵でもない男が事件を追っていくのかについての話が、作品をほとんど言い表していたように思う。「落ちる」とは女性の身投げを指すだけではなく、登場人物すべてが今の状況から別の状況に落ちていく(あるいは「落ち着く」)と言えるのだそうで、ある者の落ちゆく先は死という無の世界であり、ある者の落ちつく先は家族の元であり、おる者が落ちた後は日常に戻る。

2006.01.10

BROKEBACK has Mormon mountain to climb

「ブロークバック・マウンテン」を上映中止 ユタ州の映画館(CNN)

きのうあたりから沢山出ているニュース。日本語を発見。

ことし最初の見世物小屋へ

ということで、何も書かずにすっかりバカになっている頭で、見た映画の雑感を並べてみます。

●『ロード・オブ・ウォー』(@地元シネコン)。――やっと見た。もともとは、『アレキサンダー』でヘファイスティオンを演じたジャレッド・レトの出演作(武器商人である主人公ユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)の弟ヴィタリー役)という意味での興味だっが、作品は強烈に皮肉の効いた社会派エンタテイメントで、その意味で資金調達の苦労などもあったというが、鳴り物入りのブロックバスターの興業が今ひとつ伸びない米国映画の中で、社会派作品が少しずつ脚光を浴び出しているというこのところの、まさに時流の作品の1つと言える。主人公は、「武器商人」の持つイメージを上手く戯画化したキャラクターで、しかもリアルに人間臭く描かれている。実際、(ステレオタイプな連想で申し訳ないが)笑うせえるすまんよろしく、アタッシュケースにダークスーツで、一国の要人にサシで「商品」を売り込むために身体1つで世界を飛び歩く、絵に描いたような「商人」なんているわけないだろうに、まさか……。でも、それはそれ。主人公のユーリーが武器セールスマンとなるいきさつは、「オルロフ家サーガ」として物語れそうなほどしっかりしているし、彼の職業へのスタンスや、家庭人としてのあり方、「平和的」で近視眼的現実的な性格描写は、そんな彼の仕事を必要とし、需要も供給もある巨大な世界(=戦争の火種の絶えない世界)を強烈なアイロニーで彩っている。世界の戦場を股にかける商人が登場し、結末もでかいことを言っている割には、映画としてはプライベートなサスペンス物の趣きだが、ウクライナのエピソードやアフリカでの自家用飛行機のエピソードあたり、迫力もあり、非常にコワ面白かった。ジャレッド・レトはタイプキャストというか何というか、まあイメージどおりの役どころですが、コック姿もかわいくて、出演作としても全く悪くないし、良かったんじゃないすか?(やっぱり、兄にすがる病院行きの車中とか、注目しなきゃいけませんかね?)

●『秘密のかけら』(@シャンテ)。やはり、秘密は秘密であり、秘密にしたい人間がいる以上、暴いてはいけないのだ。自分はそう思った。もちろんそれは、プライバシーの話。社会的に暴かれなければいけないものは、公にすべきだろう。原題(原作タイトル)は"Where The True Lies"。日本語にすると「真実のありか」なんだそうだ。「秘密のかけら」でも「真実のありか」でも何でもいいが、それを探していたのがヒロイン、アリソン・ローマン演じるジャーナリスト志望の教員カレン・オコナー。彼女が、自身のアイドルだった1950年代ハリウッドのエンターテイナー、ラニー・モリス(ケビン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)のコンビにまつわる殺人事件のなぞを究明し出版しようと画策するというサスペンス映画。あけすけな人々、あけすけなセックス、あけすけな死体、あけすけな薬物依存が、そのえげつなさを忘れさせてくれるほど美しい画面、まるでラニーとヴィンスのステージのようにきらびやかに美しく演出されて差し出される。でも、出演者に対する興味もなく、監督の趣味とも合わない人には、絶対的に「長い」1時間48分に違いない。ヒロインのアリソン・ローマンは、自分は『ホワイト・オランダー』で見て以来だったが、20代半ばにしてあの童顔の、トレンチ・コートでヒールはいてもアイリス(ジョディ・フォスターin『タクシー・ドライバー』)にしか見えないヤバい感じは、この映画にはうまく作用していたと思う。彼女の2つのベッド・シーン、監督の十八番なんだろうが、本当に美しかった。原作は、全編コミカルなタッチで、しかもどうやらハッピーエンドなのだと言うが、映画のこのラストの、にがいような苦しいような安堵のような諦めのような「不味い」感じは、アトム・エゴヤンならではの期待にそうもの。展開そのものが、なぞ解きよりも、虚像が壊れては生き続けられない芸能界の人々の、スポットの当たってしまった人生の中の特殊な心理状態と、本当の自分とイメージの自分に引き裂かれていく人間のどうしようもないありように焦点が当てられているからだろう。コリン・ファースより、ケヴィン・ベーコンの方が色っぽいし、ぐっとおいしい役どころだが、コリンは静かに作品を支えたと思う。ヴィンスのラストシーンは、冒頭のショーのシーン(および暴力シーン)を振り返るとぐっと切ない。

●『ブレイキング・ニュース』(@シアターN渋谷)。『ロード・オブ・ウォー』同様に、情報操作を行う当局をシニカルに描いて見せた作品だが、こちらは社会的な問題意識など大してなさそうだ。もちろん『ミッション』同様の美意識と、『PTU』同様のユーモアは健在。ケリー・チャンも、『インファナル・アフェア』のお飾り系の女医役より、かわいそうなぐらい面白くてよかったんじゃないかと……。結局は、強盗さんと殺し屋さんの「火事場」のお料理シーンを、ほろりほっこり描きたかったのかね、ジョニー・トー。いやだ、いやだと思いながらも、映画としてあまりにかっこよく、酔わされてしまうので、ついつい見てしまうのであった。でも、今回結構穴が……。

映画館まわりついでに、『白バラの祈り-ゾフィー・ショル、最後の日々』と『変態村』と『ブロークバック・マウンテン』の前売りを買いました。各作品ともポストカードがおまけだったのですが、BBMはA4に近い巨大なサイズのはがきでした(図柄は、あの帽子をかぶってうつむいた2人のおなじみのもの)。せっかくシアターN渋谷に行ったのに、『ホテル・ルワンダ』の前売りを買い忘れました。

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