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2005.09.13

しょせんMINDO?

9月5日、平日毎朝聴いているTBSのラジオ番組「森本毅郎・スタンバイ!」のコーナーの中で映画『ホテル・ルワンダ』のことが取り上げられた。日本公開されないために、映画ファンにより公開を求める署名活動が起きている作品で、時おりコメントなどをいただく ひでさんのサイト(HISTORIA)のトップにもリンクがあるし、映画好きの人ならきっとどこかで、この映画の公開を求めるバナーなどを見たことがあるだろう。

放送の中では、『ホテル・ルワンダ』が、1994年にルワンダで起きた大量虐殺という重いテーマを扱ってはいるが、社会派作品としての価値だけではなく、映画として堪能できる(=「楽しめる」)素晴らしい作品だということを、おなじみの町山智浩氏が登場して解説した(→番組公式サイト内のページ)。キャストも豪華だ。2005年の米アカデミー賞にもノミネートされ、全米での興行成績も決して悪くないという。

で、リンクした番組公式サイト内のページを読んでいただくとわかるが、ラジオのオンエアの中で最も印象的だったのが、このレベルの作品がどうして日本で公開されないのかについて配給会社に尋ねた部分。ある配給会社の方が、日本ではこの作品はヒットしないと判断した理由を挙げていわく

日本で受ける映画とは
1.主演俳優がビッグネーム
2.ファミリー向けの内容
3.爆破、アクション、CGが派手なもの

「お客さんは頭を使うために映画館に来るのではなく、単純な爽快感を求めている人が多いんですね。日本での映画の位置付けはそんなところなんでしょう」

『ホテル・ルワンダ』は
1.テーマが政治的
2.主演が黒人俳優でしかもスターじゃない
3.いわゆるハリウッド的な映画ではない

「と、言わば三重苦。厳しいですね」と。

いや、いいのだ。映画は娯楽なんだから。自分だって、小難しいことを考えたくて映画館になど行かない。劇場が暗くなれば、これから垣間見るはずの、自分が今居る場所とは異なる世界に想像をめぐらせ胸がおどる。どのようなジャンルの映画であろうと同じように。

しかし、ビジネスだから当然と言われればそれまでだが、マーケティングに基づいた「これをあてがっておけば売れる」的な判断ばかりが横行するというのは何ともさもしいし、「あてがわれた」側からすればナメられている気がする。そして、文化だろうが食べ物だろうが、1つ当たれば企業はすべてそれになだれ打ち、誰もが飽きて2度と顧みられなくなるまでむさぼり尽くす。

番組の中で後半、町山氏が非常に厳しい意見を述べていたが、このごろこんなふうに、この国の物質的な部分以外のさまざまなことに貧しさを感じることが多い。

昨日の選挙の後に読んだ、「踊る阿呆に観る阿呆」さんの「なみおか映画祭終了」も衝撃的だった。にわか映画ファンなので、なみおか映画祭に関してはほとんど知らないに近い自分だが、こちらの記事にリンクされているなみおか映画祭のプログラム・ディレクターの最後のコメントと、これまでの映画祭のラインナップなどを見ると、Weblogの記事に激しく同感する。

選挙の結果よりも、まったく予測されたとおりに事が運んだことが、何よりも空恐ろしく感じられた。我々はもう、簡単にあてがわれ、簡単に操られ、簡単に切り捨てられるコマでしかないのだろうか、と。
     
    ↓
【2005.10.6追記】
下のコメントでひでさんがお書きくださっているとおり、2005年12月に、新規オープンするシアターN渋谷にて、『ホテル・ルワンダ』は公開が決定したそうです。

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コメント

ひでさん、こんばんわ。はい、私も昨日の朝、記事で書いたラジオ番組で、「ホテル・ルワンダ」公開決定のニュースを聞きました(昨晩は帰宅が遅く、記事を上げ損ねましたが……)。封切りが楽しみです。少しでも盛り上がるといいですね。

ユーロスペースがリニューアルするという話は聞いたことがありましたが、移転してしまうんですね。円山町というと……シネマソサエティのさらに先、あたりになりましょうか? うーーん、で、桜丘町方面は別の映画館と……。「ブレイキング・ニュース」は昨年の映画祭で見損ねたので、ぜひ見たいと思っています。池袋でもレイトショー公開と、どこかで見た記憶がありますが、違ったかな?

さて、ひでさんといえば……私もひでさんのサイトで情報をいただいて、午後代休を取ってまで午後7時から放映するアレクサンドロスの死の謎を追ったNHK教育の番組を見ました!(ありがとうございました) いや、わが家のビデオデッキは専ら再生用で、録画用にテレビに接続していないので、見たい番組は(滅多にありませんが)その時間に見るしかないのです。

スコットランド・ヤードの捜査官が出てきて2300年前のマケドニア王の死の原因を、警察捜査的な視点から追究するというのは、やや胡散臭いものの……治療目的の薬物の過剰摂取による中毒死という説は面白かったと思います。本人が治りたがって劇薬をがんがん飲んだ、というのはいかにもありそうな話です……。

我らがヒストリカル・アドバイザーのロビン・レイン・フォックス氏も登場しておられましたし、大王役の役者さんも、(私には)ルーブルのリュシポス模刻の大王胸像の雰囲気に何となく似ている気がして、強く印象的な目のあたりなども悪くなかったんじゃないかなと……。

石公さま、おひさしぶりです。

最近は大王関連ではNHK教育テレビの海外ドキュメンタリーくらいしか見ておらず、自サイトの更新も余りしていない状態でしたが、そんなときに「ホテル・ルワンダ」公開決定というニュースが入ってきました。渋谷のシアターN渋谷というところで公開されるとのことで、どこの映画館だろうと思ったら今ユーロスペースがあるところに12月にできる映画館で、日販が施設を買い取って施設を改装したり色々といじくっている模様。で、ユーロスペースはどうなるのかというと円山町の方に移転して来年1月オープンとのことです。

ひでさん、おはようございます。すっかり副業(?)でバタバタしてまして……。

まあ、そんなこんなでも、日本というのは外国映画が世界で一番公開されているのだそうで、映画ファンにとっては幸せな国である、とも言えるのでしょう。でも映画に限らず、どこか貧しい感じ、何だかせわしない気持ちを覚えるのは、一体何なんだろうかと思ったりします。

今やインターネットによって、未公開作品の海外DVDなども簡単に入手できるようになりましたけれども。

石公様、こんばんは。

アカデミー賞ノミネート作や受賞作でも採算がとれないと判断されると上映されないことは結構あるような気がします。以前NHKの衛星放送で「トプシー・ターヴィー」(マイク・リー監督作品)を深夜に放送していましたが、何時公開されたのだろうと思って調べてみると劇場未公開、しかも日本ではNHKでの放送が本邦初公開だったということがありました。これなんかも日本では採算が見込めないということで公開されなかったんだろうなあという気がします。

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