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2005.08.31

断背山続々

8月31日(もう今日)から始まるベネチア国際映画祭では9月2日に、9月8日から始まるトロント国際映画祭では10日と12日に上映される、"断背山"こと《Brokeback Mountain》。

米国での年末の公開に向けて、もう今にも公式サイトが立ち上がりそうで、予告動画だのをずっと楽しみに待っていたのだが、ありがたいことに(おそらく関心のある方なら皆さんご存知の)"Pero's favorites"さんのブログの30日付のエントリに、予告動画のリンクが紹介されている。

予告編は何だか、『楽園をください』終盤の空気を思い起こさせた。

原作は58ページの短編小説だという(amazomのレビュー情報による)。作者アニー・プルーの小説で最も有名なものは、既に同名タイトルで映画化もされている『シッピング・ニュース』で、1994年に全米図書賞とピューリッツアー賞を受賞している作品だ。小説はハードカバー出版時点では『港湾ニュース』という美しく慎ましやかなタイトルだった。おそらく映画化後文庫になってから、邦題を映画に合わせて変えたのではないか。映画のタイトルとしてはカタカナの方が良いかもしれないが、小説だったら断然『港湾ニュース』の方に香気を感じるのだが。

ほかにも『オールド・エース』と『アコーディオンの罪 ACCORDION CRIMES』という作品が集英社から邦訳出版されており、"Brokeback Mountain"も日本語版が待たれるところだ。

邦訳の出ている2作については、"すみ&にえ「ほんやく本のススメ」"さんという非常に個性的&面白いサイトで、作品について対談しているページがある→『シッピング・ニュース』、『オールド・エース』。

この、すみさんとにえさんという2人の方が作られているサイトの『オールド・エース』についての対談中の、作家アニー・プルーを評した言葉をそっくり引用させていただく。
 
――アニー・プルーって、その土地に移り住み、そこで暮らすことによって少しずつ学び、その土地を少しずつ愛し、その土地の人間に少しずつなっていく、そういう経験を小説のなかでさせてくれる作家さんだよね。「シッピング・ニュース」でもそうだけど、この小説ではもっともっとそうだった――(by にえさん)

――だから、小さな町でのちょっとした出来事も、自分がその場にいるみたいにドキドキしたり、主人公が他の登場人物に言われた何気ないセリフに、ズキッときてしまったりするんだろうね。「シッピング・ニュース」も何度も読み返したい小説だなと思ったけど、これもそうだな。何度も何度も読み返して、パンハンドルに暮らしていたい――(by すみさん)

また、にえさんが別に「ストーリーに起伏がある作品ではない」とも話しているが、作家と作品に対する上の引用のような寸評と、トレイラーの映像とを合わせると、既に作品のトーンというものが想像できてくる。

『シッピング・ニュース』は映画の方も見ていないのだが、《断背山》がまだ日本では出版されていない以上、まずは小説を読んでみるかという気に、じわ~っとなってきている。さて、秋はしみじみと、E・アニー・プルーから始めるとするか……。

玉卿嫂 再ドラマ化

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とうの昔から出ていた撮影話のようで耳新しいニュースではないようなのだが、最近すっかりご無沙汰だった自分には初耳な話なので書いてみる。

画像はきょうの台湾聯合網の娯楽ニュースにあったもので、范植偉が白先勇原作の短編(というか中篇か?)《玉卿嫂》のテレビドラマ(全24話)を撮影するために、昨日中国の杭州に入ったというもの。左にいるのは共演する大陸の女優、蒋[雨/文]麗(ジャン・ウェンリー)。

余談だがジャン・ウェンリーといえば、少し前にBS民放局をぐるぐるチャンネル変更していたら、いきなり彼女と那英(ナー・イン)がドラマに出ていて、非常に驚いた記憶がある。あとで調べたら、 中国版『SEX AND THE CITY』と言われていた『恋・愛・都・市~恋がしたい』《好想好想談恋愛》。今や日本のテレビで見られるアジア圏のドラマは、韓国・台湾ばかりではないのだとよ~くわかった。

さて、《玉卿嫂》の監督は、台湾のテレビ界で活躍してきたベテランの黄以功(「香港導演」なんて書いている記事もあったが、台湾でOK?)。1997年にも彼が同じ作品を台湾でテレビドラマ化しているそうだが、今回再度、同作品を大陸でテレビドラマ化するという。すでに7月に上海で、原作者を中心に今回の撮影に関する記者発表が行われている。この黄以功監督は白先勇との交流も深く、作家としての白先勇を取り上げたビデオ作品なども作っている人である(←検索すると出てくる)。

キャストはほかに、かつて同じ白先勇原作の映画『最後の貴族』でヒロインを演じた潘虹(パン・ホン)、『恋・愛・都・市~恋がしたい』に出演している羅海瓊(ロー・ハイチョン)ら。

聯合娯楽の画像が澤東提供になっていたのは范植偉の所属事務所なので当然だが、作品的には、別に澤東は関係なさそうな様子ではある。まあでも、范植偉に軽めの(暗くない)現代劇をやらせようというのは暴挙だと、やっと気付いたかのかね、事務所は。きょうの台湾記事。そして大陸の記事。良い作品になるといいが、あの作品にして24話って、長すぎないだろうか。

2005.08.30

張元 我愛[イ尓]も公開

本当か嘘か知らないが、2003年の東京国際映画祭で『I LOVE YOU』のタイトルで上映された張元(チャン・ユアン)監督の《我愛[イ尓]》が、来年公開されるらしい。しかも東京写真美術館で、と場所まで決まっている。→記事

徐静蕾(シュー・ジンレイ)は、他の作品を見ても、「かわいいが、どこかおかしい」「おかしい」「ヘンだ」と思っていたが、この作品を見て、「不思議ちゃん」というよりはむしろ「エキセントリック」さらに「ヒステリック」へつながる彼女の個性を再認識したような気がする。いや、役柄がヒステリックなだけなのだが……まあ、それが彼女の個性に思えるってことは、偶像系のルックスでありながらも、そこは中国四大名旦の一、見るものにそう信じさせるだけの演技力のたまもの、ということなのか?

ダコタ・ファニングのスクリーミングといい勝負(?)な、キンキン声の男女カップルのケンカの97分に君は耐えられるか、と挑戦状をたたきつけられたかのごとく強烈にうんざり、ぐったりする映画だが、さすがの張元(導演)、さすがの張健(摂影)なので、映画的醍醐味は十分。「中国映画は涙をさそう感動作」的なイメージを打ち破ってくれる嬉しい作品でもある。山里の自然とか、貧乏とか、純粋な人々とか、じいさんとか、純愛とかそんなの、今さら見る価値などないもんね……。

ぜひ自分も、再度、劇場でこの作品を見る責め苦に挑み、ラストの意味をきちんととらえ直したいと考えている。

ヘロヘロで長文が書ける状態ではないので、こんな上映情報ばっかで情けない。

2005.08.26

ポーランド映画 昨日と今日

9月13~25日まで、東京国立近代美術館フィルムセンターでポーランド映画の特集上映(12本)。

あちこちでちらほらと情報は出ているものの、フィルムセンターのサイトには今現在まだ予定が出ていなかった。やっと25日朝日新聞の夕刊に記事が。

アンジェイ・ワイダが選定した作品とのこと。旧作はもとより、新作が上映されるというのが良い。しかも京橋、座席は心地良いし、安いし(笑)。

やっとNFCで情報がでました→ポーランド映画、昨日と今日(2005.8.30)

2005.08.24

気になる発売予定DVD

8月なのにずっと仕事が忙しい。土日は休めているので、がんばって出かけているが、それも今週は危ういかもしれず……。今週は絶対に『南極日誌』と『愛についてのキンゼイ・レポート』を見にいこうと、めずらしくも既に前売りを購入し気合いを入れているのだが、どうなることやら。

ということで、大した記事も書けないので、気になるDVDなどを挙げてみる。

シルビア・チャン監督の《20、30、40》は、確か公開予定だった気がするのだがDVD発売情報を発見。タイトルは『20.30.40の恋』で10月26日発売予定。これはもしや公開なしのスルー? でも豪華なキャストというだけで既に嬉しい作品。

そして、ついにファスビンダーのDVDボックスが……。『13回の新月のある年に』も、『ケレル』も見られる! 
 ●ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーDVD-BOX I(9月30日発売予定)
 ●ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーDVD-BOX II(10月22日発売予定)

MUSA -武士- ディレクターズカット完全版』などというDVDも10月7日発売予定で、「既発版より21分も長い」と説明されているが、気になる。そういえば、つい最近『清風明月 特別版』DVDの雑誌広告を見たが、「豪華20分特典映像」などと書かれていて、「20分って豪華なのか?」と思わず声が出かかった(笑)。しかもチェ・ミンスのインタビューのみ20分。そう思うと『アレキサンダー』の映像特典って、あれでもマシな方なのだろうか??(笑)

発売予定とは関係ないが、今単に見たいと思っているDVDは『コールドマウンテン』、『情婦』(ワイルダー)、『シカゴ』、『ブギーナイツ』といったところ。『コールドマウンテン』は、『虹の彼方に』(出雲まろう責任編集)中の評によって大変興味を持っているので、何とか早く見たい。『情婦』はむか~し見ているはずなのだが。

『ある日、突然。』もぜひ、サントラ付の限定版を買いたいものだなあ……。

2005.08.21

少女はがさつでぶっきらぼうじゃなくっちゃ

大好きな韓国の女優ペ・ドゥナが出ているということのみを牽引力に、前作『リアリズムの宿』では、自分的にちょっともうちょっとちょっとちょっと……だった山下敦弘監督作品であるため引き気味の身体を引きずって、やっと『リンダ リンダ リンダ』を見てきた(8月14日@新宿)。

『リアリズムの宿』は、その独特の間合いはとても肌に合うのだが、若い男2人の馴れ合った(と感じられた)結末が腑に落ちず、女性の出し方ももうひとつ気に入らず、というところだった。

が、が、が、『リンダ リンダ リンダ』にはやられた。昨年の『下妻物語』がパンチの効いた胸のすく友情物語なら、『リンダ……』には何のドラマもない高校生の時間が焼きついている。そして『パッチギ!』がある意味韓流への問題提起であるように、『リンダ……』もまた(監督にそんな意図はなかろうが)韓流という浮ついた「ブーム」を日常レベルで見つめ直すことのできる作品である。

ストーリーなど何もないのだ。

文化祭本番を目前に、軽音楽部の女子バンドのギタリスト萌が手を負傷。と同時にメンバーの恵と凛子がけんかをし、凛子が文化祭出演を拒否。数日後に迫ったステージはピンチに陥る。ボーカルとギターが出ないとなれば、それでも出演するなら曲目&持ち場の変更を考えざるを得ない。ベースの望とドラムの響子は今までどおりとはいえ、キーボードの恵がギターにまわり、残るボーカルを誰にするか決めることに……。

芝崎高校の構内で、3人の女子が座っている。目前のステージをどうしようか、ボーカルはどうしようかと話しながら。この空気が何とも言えずリアルで、知らず知らずのうちに自分も、かったるくて閉塞感に満ちた数10年前の学生時代に戻っている。このあたりから自分はもう「入りっぱなし」。1人が「今から目の前を通った人をボーカルにしよう」と言い出す。そしてそこに姿を現すのが、バンドとも関係なく大して交流もなさそうな、ペ・ドゥナ演じる韓国からの留学生ソン。

あとは、4人の急場しのぎバンドが連日徹夜の合宿状態で練習し、当日のステージを迎えるというだけの話。その間、多少の恋愛談などもあるが、本質的には何も起こらない。

何が良いかというと、一生懸命さとか、熱さとか、ぐわっと盛り上がっていく感じとか、そんなのが一切ないのが良い。もちろん登場人物たちは、「本番まで残り何10時間」という秒読みの時間の中で、徹夜で必死で練習している「熱い」状態ではあるのだ、たぶん。

でも映画には、そんな懸命な姿を感動的に見せるような場面はない。見せられるのは、夕飯のためにメンバー全員でスーパーに買い物に行く場面だったり、真夜中の屋上でお菓子を食べながら休憩する場面だったり、徹夜の結果机に突っ伏して爆睡しているソンの姿だったり、本番直前の練習後全員が疲れて寝過ごしてしまったりする場面である。祭りの非日常ではなく、非日常的なスクランブル状態の中でも必ずあるはずの日常的な、食べること、しゃべること、眠ること、といった「行い」が映されているのだ。

観客は、感情移入はできないかもしれないし、ドラマチックな感動は与えられないかもしれない。でも、自分も持っていたはずのあのころの「時間」を、タイムスリップしたかのごとく鮮明に思い出すだろうし、彼女たちとともにその「時間」を再び生きるはずだ。巨大なドラマツルギーの渦に巻き込まれていては気付けない、人が生きる毎日の貴さを、そこはかとなくじんわりと感じさせられるのだ。

バンドメンバーは、美形の恵を筆頭にそりゃみんな女子高生だから可愛いことこの上ないが、そのあたりの、何もしなくても人生で一番美しい時間を生きる女の子たちを、特に美しく撮ろうなどという意図が感じられないのも、この映画を気持ち良く見られる理由の1つだろう。

留年して高校に残っている軽音楽部の先輩・中島田花子が、屋上で1人マンガ喫茶をやっている。一応、文化祭だから(笑)。風の吹くコンクリートの屋上には、マンガと、クーラーボックスに入れたジュース。そこへやってくる恵と交わす会話の優しさが良い。演じている山崎優子の、ハスキーな声と、ジャージonスカートで今にもあぐらでもかきそうな自然体な雰囲気が、その場の心地良さとかすかな寂しさを感じさせて凄く良い。

ペ・ドゥナは、さすがのキャリアだ。『ほえる犬は噛まない』で大コメディを演じきり(ソンのキャラクターはこの作品のヒロインにやや近め?)、『復讐者に憐れみを』では大胆なベッド・シーンもある左翼活動家という役柄を意欲的に演じ、社会人となった学生時代の女友達4人の友情と現実を描いた『子猫をお願い』では、じっくりと繊細に若い女性OLを演じて見せてくれた彼女だ(そうそう、『リンダ リンダ リンダ』を見ているときに、まるで『子猫をお願い』の女の子たちのフラッシュバックの学生時代を見せられているような気がした。特に4人でバスに乗るシーンなどは既視感にとらわれた)。

バンドメンバー4人が1列縦隊でふらふらと野原を歩く場面がある。なぜかわからないが、先頭をペ・ドゥナが歩いているだけで、そのシーンが面白く感じられた。ほかの場面でも、彼女が、立つ、歩く、食べるという動作だけで「映画の場面」として輝き出すような気がした。そして、ひょうひょうとして飾らず、しかしパワーを感じさせる彼女の個性が、ソンというキャラクターにぴったりあっていた。

ソンは留学生として芝崎高校にいるが、まだ言葉も片言で、文化祭ではお客も少なそうな、学校側の方針で企画されたような韓国文化を紹介するコーナーを教師と2人で担当している。みんな彼女のことを知ってはいる。でも親しい友だちは小学生で、高校では何だかつまらなそうにしていたソンが、たまたまバンドのメンバーになったことで、その活発な個性を見せ始める。

映画を面白くしたのは、ペ・ドゥナの存在はもとより、ソンというキャラクターが醸し出す良い意味でのぎくしゃくとした感覚だと思う。それがなければ、ただの漫然たる「美しい時」に過ぎない。そして「面白み」というアクセントであるソンは、そんなこと以上に、バンドの少女たちの間がより本質的に結びつくために貢献したはずだ。繊細なニュアンスを感じあいながら接していく日本式の友だち付き合いの輪の中にソンが入ることで、もっと大雑把で、しかし大切なところは外さないというレベルで付き合っていく必要が生まれたのだから。

『リアリズムの宿』の(陳腐な言葉だが)予定調和の不愉快さが『リンダ リンダ リンダ』に感じられなかったのも、ソンというキャラクターが入ったことで、その日本式予定調和がくずれたからかもしれない。ソンの存在は、この映画が成功していることの大きな鍵だと思う。そりゃ、ヒロインだから当然か(笑)。


さてさて、全くの余談だが、今、自分が好きな韓国の女優さんは、チョン・ドヨン、ムン・グニョン、チョン・ジヒョン、ペ・ドゥナといったところである。多すぎですか? 単純な外見で苦手なのはキム・ハヌルで、単純な外見で好みなのはチョン・ドヨンとチュ・サンミ、そしてこの間見た『大韓民国憲法第一条』のイェ・ジウォン。イェ・ジウォンは『大韓民国……』では非常に色っぽいけれど、『アナーキスト』中で日本人歌手として艶っぽく歌う場面では、「ガエル・ガルシア・ベルナルのザハラ(のキサス・キサス・キサス)を見習え~」とやじりたくなったほど、あっさりしていた記憶が。まあ、セクシーさと爽やかさの同居しているところが彼女の魅力なので、そりゃあ仕方ない。

偵探物語 放映

8月21日の夜から台湾公共電視で《偵探物語》が放映される。結構面白そうだねぇ(でもDVDなどが出ても、公視は価格が高いし、ドラマは長いのできっと見ない)。公視でやる、ということは、それなりにちゃんとした出来なんだろう。

下の画像左は数日前に行われた台湾での試写のときの会見の写真(新浪網より)。シャツは綺麗です、シャツだけは(爆)。右はリンクした公式サイトの壁紙の1つ。范植偉の隣にいるのは同僚の探偵役の徐錦江。

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2005.08.20

今さらながら「おひとりさま」

映画を見たあと、それが心に染みた映画であればあるほど、飲みたくなる。映画は1人で見にいくことがほとんどなため、当然、1人で飲む。ロジックなど放置して、ただただ気に入ったシーンを愛でるように頭の中で反芻し、喜びに浸りたいがために飲む。相手が映画であるというだけで、まさにデートの行程そのものである。

手っ取り早いのは、KIOSKなど、映画がはけて駅まで歩き、駅の売店で缶ビールなどを買って飲むパターン。時間がないときや夜遅いときには、飲みたくなったらこれしか手がない。

そして時間に余裕があるときに、1人でも入りやすい店の1つが「キリンシティ」。カウンター席が多いため1人でも入りやすく、清潔感もあり、何よりもビールがうまい。さらに嬉しいのは、昼間からやっているということ。東京国際映画祭のシーズンには道玄坂店、ユーロスペース帰りには桜丘店、銀座で映画を見たあとには東京銀座店、東京駅では八重洲地下街店と、いつも大変お世話になっている。

bm_can350実は、今日は職場の同僚7名との飲み会で、午後7時半開始の宴会だったのだが、自分の仕事が終わったのは午後9時。飲み放題の残り30分でいくばくか飲んだものの、まったくもの足らず、帰宅途中にコンビニに寄った。降車駅から自宅までは徒歩30分(普段はバス)。さほど酒に強いほうではないが、購入した缶酎ハイは歩きながら飲み干してしまい、その後に通りかかった2軒目のコンビニで見つけたのが、何とびっくり、キリンシティでしか飲んだことのなかった「ブラウマイスター」(左の画像)。ふだんは缶酎ハイか発泡酒か「その他の雑種」しか買わないプアーな自分だが、「ブラウマイスター」の誘惑は、ランディ・ドレフュスにおけるD・J・ピケットのケツ(@「二遊間の恋」)のようなもので、気がついたらふらふらと、BM(ブラウマイスター)を抱えてレジに並んでいた。

帰宅途中に、コンビニで発泡酒や缶酎ハイを買ったときに「つまみ」で買うのはいつも、雪印の「さけるチーズ スモーク味」で、酒類を飲みつつ歩きながら、さけるチーズをさかずにかじる(笑)。ビールの銘柄では、今のところ最も好きなのは、めったにお目にかからないサッポロビールのラガーである。ほかは、当然のキリンやエビス、そして沖縄のオリオンビールといったところ(酵母の生きている地ビールも好きだ)。

『妖怪大戦争』の「一番絞り」は本当に美味そうだったが、歩きながらの「ブラウマイスター」の、ぬるくなっても気がぬけても残る、その「うまみ」に本当にびっくりしたのだった。

2005.08.15

僕の恋、彼の秘密

《十七歳的天空》の邦題が『僕の恋、彼の秘密』に決まったようですねぇ。武蔵野館で上映というのは少し前から配給会社のラインナップページに載っていたんですが、「全国順次公開」だそうです。しかし出演者名、「ダンカン」ってカタカナで書くと、「『七人の弔』かいっ!」って突っ込みたくなります。

いや、これが公開できるなら、『夏の突風』が、あのクオリティで公開できぬはずはないと思うのだけれど。

2005.08.14

さらに映画祭が

まだまだあります、映画祭。

9月2日(金)~9月11日(日)東京日仏学院にて、ブラジル映画祭2005開催。 (プログラムG、肉屋のオヤジの横顔を見つめるアニキの妖しいこと……)

本日、新宿のDVDショップにて『アレキサンダー』DVDの店員手書きポップの大変面白いのを見つけ、すっかりお気に入りに。

金髪19歳のコリン・ファレルasアレキサンダーがしりあがり寿風の絵で描かれており、横に「コリン・ファレルの気色悪さは必見!!」とある。その不気味なイラストに、思わず見蕩れる自分が……。

あの19歳のコリン・ファレルは、冷静に見れば確かに、野球マンガに出てくる長島茂雄のように青々とした髭剃りあとに金髪を乗せ母の膝にうずもれるという、気色悪いことこの上ない風体だ。まあ、それも一興(爆)。

どんな売り方でもいいから、がんがん売れてくれ。文句たれようが、買ってくれればそれで1本。世界中で売れて、そして監督よ、もっと別の編集版DVDを出してくれ。

2005.08.13

『セブン ソード』9月公開

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今までまったく何の公開情報もなかった徐克監督《七剣》が、『セブン ソード』というそのまんまのタイトルで来月下旬に日本公開されるらしい。かわいいDuncanさんと、素晴らしい孫紅雷が見られるぞ(主役に触れなくていいのか?)→記事(CINEMA TOPICS ONLINE)。

2005.08.11

大倉山へ行こう

衆議院総選挙の結果を思うと、ますます嫌~な予感しかしないのだが……。首相が言っているとおりに、郵政民営化に対する賛否を問われている、などと素直~に思って選挙しちゃうパターンが多いんじゃないかなあ。そしてこの国の政党は、本質的に自民党のみになってしまうんだろうなあ。郵政民営化反対派自民党議員が新党を作ったとしても、それもまた第2自民党だし、民主党だって半分は自民党みたいなものだ。それなのに、その民主党にすら政権を移すことをしない国民だし。すごく暗い気分だが、がんばって選挙行くか。


alx13さて、左の画像は8月9日付の台湾自由時報のコリン・ファレル記事より(大王スタイルの人形をながめる本人)。この前日、香港紙に掲載された記事を発端に、翌日の台湾の芸能マスコミ記事は、『アレキサンダー』ディレクターズ・カット版の画像に関するコリン・ファレルの下ネタで持ち切りだった。わざわざ紹介するようなものでもないのだが……。こんな話題が飛び出したのも、劇場版より明るく見やすいディレクターズ・カット版の映像のせいらしい。

このところ大王つながりで久しぶりに思い出したのが、以前一度見にいったことのある「日本のギリシャ」。とはいえ、淡路島など本来の意味でのギリシャではなく、商店街振興のために、商店街に立ち並ぶ店舗の外装をギリシャ建築風に統一してしまったという駅前商店街のことである。普段出かけるエリアではないのだが、3年ほど前にわざわざ見にいった。それは、東急東横線大倉山駅(神奈川県横浜市港北区)の駅の周りに広がる大倉山商店街だ。

okurayama実はこの商店街は、いわれなくギリシャ建築風ディスプレイをほどこしたわけではなく、大倉山にある大倉山記念館にちなんだものだ。リンクした記念館の公式サイトをご覧いただければわかるが、この建物は昭和7年に大倉精神文化研究所として建てられた「紀元前ギリシャのクレタ・ミケーネ時代の建築様式によるギリシャ神殿風建築」で、映画『スパイ・ゾルゲ』や『裁判員』のロケも行われた。昭和7年というのが非常にキナくさい感じもするが、昭和初期の堂々たる西洋建築の1つと言えるようだ。

この大倉山記念館と、大倉山商店街の建物について詳しく紹介したページがある。「建築マップ」という、建築ファンの方々の手により共同で作成されている面白いサイトで、トップページには「世界各地の建物を紹介する参加型共同作成サイト」と謳われている。最初にリンクした大倉山に関するページも、大倉山記念館の建築に関する解説や建築家に関する考察など、短いながらも非常に面白い文章が並んでいる。こちらによれば、この大倉山記念館も商店街もプレ・ヘレニズム様式といわれる建築様式なのだそうだ。

本格派の大倉山記念館も興味深いのだが、さきほどの「建築マップ」の大倉山ページの下半分に載っている商店街の写真をぜひご覧いただきたい。これが大倉山商店街の魅力的なところで、和菓子屋さんも予備校も写真屋さんも自転車屋さんも、カラフルな看板やら日よけやら暖簾やらのあるごくごく普通の店先でありながら、その両脇に白亜の列柱が立ち、上には神殿風の屋根が乗っているのだ。

いつも利用されている方には今さら何の面白みもないだろうが、見慣れない人間には本当に新鮮な商店街である。ちなみに「大倉山商店街の「エルム通り」は、アテネ市のエルム通りと姉妹提携を結んでいます」とのこと。おふざけなんかじゃありません。凄いです(笑)。

2005.08.10

男の子の名前はみんなアレックスっていうの

2005年8月30日から9月9日にかけて、東京都写真美術館にて「2005 チェコ映画祭」が開かれる。1日ぐらい足を運んでみたいなあと考えているのだが、上映作品を見ていたら、作品紹介に「サロニキ映画祭 アレクサンダー銀賞」という受賞歴を持つ映画があった。

相変わらず小ネタですが。

テッサロニキ国際映画祭(=サロニカ映画祭)は、文字どおりギリシャのテッサロニキで毎年11月に開催される国際映画祭である。で、ベネチアだったら金獅子賞、ベルリンだったら金熊賞(香港だったら金像奨、台湾だったら金馬奨、大陸だったら金鶏奨(って違うか?))にあたるメインの賞が"Golden Alexander"=金アレクサンダー賞(アレクサンダー金賞)なのだ。熊やら獅子やらにあたるのがアレクサンダーというわけだ。さすがギリシャ。もちろん銀のアレクサンダー賞("Silver Alexander")もある。2002年には、この最高賞(アレクサンダー金賞)を、日本の杉森秀則監督の『Woman of Water/水の女』と、タイのアピチャッポン・ウェラーセタクン監督の『ブリスフリー・ユアーズ』が同時に受賞している。

ウィキペディアによれば、テッサロニキはカッサンドロスの妻の名(テサロニケ)にちなんだ地名で、彼女はアレクサンドロスの姉(フィリッポス2世の娘)であるという。

一方、現マケドニア共和国の映画祭としては、スコピエ映画祭がある。今年はもう終了しているようだが、英語サイトがないので、上映作品ぐらいしか理解できない。

日本で上映されたマケドニアの映画を調べてみると、最も気になるのはカルト・ムービーと紹介される『グッバイ20世紀』(1998年 マケドニア)である。これは相当ヘンそうで面白そう。近年で最も名高いのは『ビフォア・ザ・レイン』(1996年 イギリス・フランス・マケドニア)。合作だがマケドニアが舞台の作品で見ている方も多いと思う。『ダスト』(2001年 イギリス・ドイツ・イタリア・マケドニア)は『ビフォア・ザ・レイン』のミルチョ・マンチェフスキー監督の2作目で、前作とはまったく違うとんでもないシノプシスがそそる作品だ。バルカン半島を舞台にした西部劇って何だよ!?(笑) そして最も新しそうなところでは、昨年の東京国際映画祭のコンペティションで上映された『ミラージュ』(2004年 マケドニア)があった。こちらはリアルで重厚な内容の映画のようだが、検索しても東京国際映画祭の公式サイトの作品紹介ページはリンク切れ。ほとんどの国際映画祭サイトに存在する前年以前のアーカイブページが東京国際映画祭のサイトに常時ないっていうのは、どう考えてもみっともないやね。

2005.08.07

足本導演版(っていうのか?)

部屋にエアコンがないため、毎晩PCの前で死んでいる。暑いと寝苦しいなんてことはまったくなく、暑いとぼーっとして、ひたすら眠い。そしてそのまま蒲団にたどり着けずに眠る。

現在発売中のキネマ旬報の巻頭特集はアジアン・スター。表紙は何とジェイ・チョウだ(が、綺麗な割りに非常に格好悪い写真だと感じる)。でも今号で印象に残ったのは、戦後60年企画の映画監督や批評家の文章だった。新藤兼人監督があたためている広島の映画、ぜひ撮ってほしいと思う……。

今日(きのう)は大王ディレクターズ・カットがAmazon.comから届く。ざっと1回見た感想は、ブラウンソース入りの紅茶を飲んだレイフ@ダブリン上等!の台詞。売らんかなで作られたなどという噂もあったので、あまり期待していなかったからかもしれないが、「悪くねぇ」。

何せ、そんなに分量が多いわけではないが、メイキングでも削除シーンでもなく、監督が再び作品として世に出した映像として、今までに見ていないシーンが見られるんである。うーん、日本でも出してくれ。

フィリッポスが少年アレキサンダーに神々のことを語る洞窟シーンを最後に子役がコリン・ファレルに交代して以降、フィリッポスが暗殺されるまでの場面は、すべて回想シーンとして物語の途中に置かれている。つまり、洞窟シーンのあと、老プトレマイオスのアレキサンドリア図書館シーンが入って、すぐにガウガメラの戦場だ。初めて見る人には少しわかりにくくなった面もあるかもしれないが、回想シーンが増えたことで、クレイトス刺殺事件のあと、それまで時系列に進んできた物語の中にいきなり現れるフィリッポス暗殺事件のフラッシュバックの唐突感は打ち消されているし、逆に、3時間の長丁場をほとんど時間に沿って進行していた物語の冗長さが、少しコンパクトな印象に変わったかもしれない。

アリストテレスの講義の場面は、節度と徳のある男性間の愛を肯定され少年アレキサンダーがにっこり……の後に今までになかったアレキサンダーとアリストテレスのやりとりがある。ファンが大好きなガウガメラ前夜の場面と、クレイトス事件の後の王の閉じこもりシーンはそっくりカットされたが、それ以外はバビロンのラブシーンも(首を傾ける癖がある云々の台詞のやりとりを除いて)きっちり残っているし、婚礼の夜の指輪のシーンもそのままだ(死のシーンで指輪がメインに映る以上、あれを削除するわけにはいかないだろうが)。

少年アレキサンダーとフィリッポスの洞窟シーンの後にあった19歳のアレキサンダーとオリンピアスの場面は、ロクサネとの初夜(←これもかなりカットされ、未見の映像がほんの少し加えられた)とフィロタス事件の間に回想として挿入された。しかもシーンの後半には今までになかった部分が追加されている。

ああ、インドからの帰還の前に神様の像を建立して皆で祈祷する場面もチラっと増えていたし、ゲドロシア砂漠の帰還シーンもほんの少し、見たことのない映像が加わっていた。

テレビ視聴用に画面サイズを変えているので、異常にクリアで、今までに見えなかったものが細々と見えたり、人の顔が細部まで見えるのが興味深い。他にもまだいろいろ違う部分があると思うけれど、とりあえずこの辺で。もう1回見てきます。

なぜか名古屋でシネマコリア

7月30、31日と名古屋にてシネマコリア2005の韓国映画4作品を見る。過去2年、東京でやるシネマコリアを酔狂にも名古屋まで見に行っているので、今年も同じつもりで気楽にしていたら、某博覧会のお陰で宿を取るのに一苦労。

今や沢山の韓国映画が公開されるようになったとはいえ、人気スター主演映画か、固定的なジャンルの映画ばかりが入ってきて、クオリティ的には公開されてしかるべき映画が公開されていないという主催者の方のおっしゃるとおり、今回の4作品は、そういえばめったに日本公開されない韓国コメディの佳作ばかり。しっかり楽しませていただいた。

『大韓民国憲法第1条』
同僚が被害者となったレイプ事件が、職業ゆえにまともに捜査もしてもらえなかったことの理不尽に怒り、風俗嬢が国会議員補欠選挙に立候補する話。大韓民国憲法第1条とは国民主権をうたった条文で、映画はその国民としての主権を侵されている社会的弱者(っていうのはあまり良い言い方じゃないのか?)に視点を据えた、セクシーで爽やかで「泣ける」コメディ。自分的には、4作中、最も気分の良かった作品。『気まぐれな唇』に出ていたヒロインのイェ・ジウォンがかなり魅力的で、彼女の別の主演作である『かわいい』がマジで見てみたくなった。監督ソン・ギョンシクのデビュー作、『舎方知』(1988年作品)も見てみたいものだ。

『達磨よ、ソウルへ行こう』
不動産業者と僧侶が寺(の土地)をめぐって、くだらない対決を真剣に繰り広げる、ひたすらキャラクターで見せるコメディ。『大韓民国憲法第1条』で、ヒロインの選挙を好意的に取材しバックアップする記者の役をやっていたイ・ムンシクは、ここでは首から「黙言」という札をさげて無言の行を続ける僧侶を演じていて、それが実に可愛い。可愛いという言葉以外に、形容する言葉がわからない(笑)。とともに、ヒョンガクという僧侶を演じたイ・ウォンジョンの濃く巨大な顔もインパクト強し。

LeeMunSik01『黄山ヶ原』
今回最も見たかった1作。見る前に、歴史的背景が細かく説明されているシネマコリアのパンフレットを買って予習したにもかかわらず理解しきれておらず、難しく感じられた面もあるが、人の見分けがつかなくても、それぞれの本陣の後には「隋」(中国・隋)とか「羅」(新羅)とか「済」(百済)とか大書された旗が貼られているし、方言がわからなくても、音を聴いているだけで可笑しい。これもまたコメディであるため、『達磨よ、ソウルへ行こう』のような下らない勝負で笑わせてくれたりするが、終盤は新羅と百済の国境にある黄山ヶ原で、兵力5万の新羅軍が兵力5千の百済羅軍の守る陣地を攻略するというロード・オブ・ザ・リングばりの場面が見られる。百済の民兵を演じたイ・ムンシク(左の画像)はラストのおいしい締めくくりをかっさらい、韓国でヒットを飛ばしたこの映画の脇のヒーローとなった。この作品のおかげで、彼のファンサイトができたという記事をどこがで見たっけ。

『どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるホン班長』
今年のシネマコリア唯一のラブコメ。主演の男女は30がらみというオトナの設定だが、ぶつかりあう2人が始終顔を合わす内に互いを思うようになるという典型的な昔の少女漫画パターン。じゃじゃ馬で思いやりを欠いたヒロインが徐々にホン班長を思うようになるとともに人間的になる……と言えば聞こえはいいが、何だか「ただの恋する女性」に変化していくところが自分的には面白くない。いや、物語として何も考えずに楽しむには、十分楽しめる作品なのだが。長~いタイトルと、殊に「ホン班長」(班長とは町内会長みたいなものだそうだ)という名前の、恋愛物とミスマッチなダサいセンスは大好きである。

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