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2005.07.19

夏休み映画祭り(その1)

17日は、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(TILGFF)と名画座をはしご。

日本公募短編集(TILGFF)。いちばん面白かったのは『ヘテロ薬』(”あほちゃうか”……だったか? うますぎ。面白すぎ)。意外にしっとりとした印象を心に残したのは『五色』。映像が最後まで頭に残っているのはさすがの白川監督『マチコのかたち』。『みかとせいじゅん』のみかちゃんは苦手なタイプなのに、最後の飛び蹴りで一気に好感度を増す。

『ドッド・ジ・アイ』&『ソウ』(早稲田松竹)。どちらも見ていなかったので、なぜこのラインナップの2本立て……と不思議だったのだが、見終えると、名画座ならではのうまい取り合わせだとにんまり。共に、どんでん返しが見どころのサスペンス。

『ドット・ジ・アイ』は、物語の流れの勢いの方が強く、めずらしくガエル・ガルシア・ベルナルが出張っていない(悪目立ちしていない、というべきか)。ヒロインのカルメンを演じたナタリア・ヴェルベケは非常に美しいが、美しさ以上に、カルメンの短気で喧嘩っ早い江戸っ子のような気の強いキャラクターが魅力的だった。前半はG・G・ベルナルお得意のせつなく情熱的なラブストーリーだが、後半のどんでん返しでストーリー自体が俄然面白くなるにつれて恋愛物としての求心力が消滅し、物語としては面白いが、結果的にはあまり余韻が残らないものになってしまっていると思う。

『ソウ』は……いやあ、ケアリー・エルウェズ、20数年前と変わらず可愛かった。そりゃ、おとっつぁんになったし、腹も出た。でも、(決して好みではないのだが)あのハーコートの美しさはしっかり残っている。素晴らしい演技をしているとも特に思えないが、まあ、よかった、よかった(笑)。せっかくなら浮気相手はアジア系の美人秘書とかじゃなくて、昔の同級生(男)とかじゃだめだったのか?(←バカ)。内容的には、切り口にそれなりの新鮮味はあったが、人間、わかりきっているものは、全然怖くないのだということがよーくわかった映画だった。まったく恐ろしさなし。気に入ったのは、主演の2人が、1つの死体とともに閉じ込められた、風呂場のようなトイレのような小汚い地下室だろうか。あんなところに這いつくばるのは絶対にいやだが、映画としては絵になっている気がする。ラストの不毛さ・脱力感、無意味さ、どうなったのかわからないところなんかも、結構なげやりに好かもしれぬ。

『プロテウス』(TILGFF)。18世紀南アが舞台の古めかしい色彩が美しい映画なのに、れっきとした2003年の作品。定評ある監督だけに、ダメ感など感じるすきはない。しかし何しろ、場所と時代とモチーフが遠すぎて、なかなか入り込むのが大変な上、主人公のクラース・ブランクは、オランダ東インド会社が植民地支配する南アフリカにおいて奴隷の身分の若者で、盗みの容疑をきせられて逮捕され受刑中に、同じ受刑者のオランダの水兵と愛し合うようになるという、かなり重い内容の話。スカスカ頭には、南アフリカの海岸の光と砂と潮風、クラースを演じた Rouxnet Brown のしなやかな身体、寄り添うだけでやけに色っぽい雰囲気のただよう恋人たちの姿ばかりが焼きついてしまっている。

『ベアー・パパ』(TILGFF)。無事入場。スタッフの方々も大変だったことだろう。とにかくスクリーンで見られて本当に嬉しかった。この映画も重いテーマを秘めているのだが、楽しく笑わせて最後まで引っ張り、終盤でほろりとさせる「良い話」に仕上げていると思う。『シュガー』妹といい、本作の主人公ベルナルドといい、子役の力は凄い。一般的に「教育的でない」といわれる環境だろうが何だろうが、信念と愛情を持って接すれば子どもはちゃんと育つんだよという話で、そこには、大人の社会(人間関係)においても、指針やヒントになる部分があるんじゃないかと感じた。もちろん、ベア兄貴たちも大挙して登場します。素敵です。瞬時にキャラの区別がつきにくいけど(笑)。

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コメント

akaboshi07さん、初めまして。

「映画に集中できず」と書きながらも素晴らしいレビューへのTBをいただきありがとうございます(笑)。記事を楽しく読ませていただきました。ほかの作品レビューも、柔らかなご自身の言葉で、作品を自分に引き付けて深く読んでおられて、品を保ちながらも刺激的なフレーズの数々、印象深く拝読しました。私は見られなかったのですが、「ミステリアス・スキン」評の「アメリカで映画を成功させるとは、こういうことなのか?」の部分には同感です。

「プロテウス」はおっしゃるとおり「乾いたタッチ」ですし、細部まで工夫が凝らされているので、何度も見るに耐えうるでしょうし、何度も見ていくと、きっともっといろいろな発見ができるんじゃないかと思うんですが……。

はじめまして。
「プロテウス」についてTBさせていただきます。
すごいですね、いっぱいハシゴしてますね(笑)
南アフリカの雰囲気を感じられる映画って
僕ははじめて見ました。
そういえばあまり流通してないですよね、
アフリカがらみの映画って。

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スリルに満ちた映画体験。 「レズビアン&ゲイ映画祭」でゲイに囲まれながらゲイ映画を見る・・・その状況にドキドキしていた僕は、 かなりボーっとしながらこの映画を見ていた。 (↑お前だってゲイだろっ!) それに輪をかけてボーっとさせてくれたのが、隣に座っていたゲイの方が付けていた香水の匂い(笑)。 しかもその人がさりげなく足を僕の足に絡ませて来て・・・鬱陶しいから離してもまた来て・・・という攻防戦が暗闇で繰り広げられていたために映画に集中できず。(←そういうことをここで書くなっつーの!... [続きを読む]

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