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2005.02.21

引き続きアジアを離れ

もう、何かに取り憑かれたかのように『ダブリン上等!』に行く。『アモーレス・ペロス』でコリン・ファレルだと言われたら、今の自分を引き止められるものは何もない。

コリン・ファレル演じるチンピラのレイフは、まさに『アモーレス・ペロス』の危ないスキンヘッドのオクタビオの兄ちゃん・ラルフのようなイメージで冒頭から登場。コーヒーショップのレジのお姉ちゃんを口説いていると思いきや、相手が女性だということも全くおかまいなく顔面に強烈なパンチをくらわせ、レジの金を奪って逃走する。そのスピード感、強盗というシュチエーション、続いてカーチェイス、そして様々な人々が登場してくる群像劇というあたり、確かに『アモーレス・ペロス』か……。などと思いつつ見始めたが、この映画の魅力は『アモーレス……』でもコリンでもなく、全く別のところにあった。

最初はサスペンスか、破壊的な生き方をする若者たちの話かと思っているから、口をひん曲げて画面を見据えているのだが、出てくる人物すべてがあまりに普通で、あまりにヘンで肩すかしを食らううちに、徐々に徐々に口元がゆるみ、笑いがこみ上げてくる。いや~普通の人ってヘンなんだよね(俺もか)。(アイルランド映画だが)イギリス映画風の諧謔に満ちた人物描写。お茶にソースを入れ、神妙に「ウマイ」といいながら飲む男たちがいる。若い女性との不倫のために家庭を捨てて出ていこうとした中年男に、泣いて追いすがった妻が実はサディスティックな性癖をもっていたり、こっぴどく恋人に振られて以来、男性不信、人間不信で髪はぼさぼさ服にもかまわず、口ひげまで生やしたままの女の子もいる。長い間彼女をつくれないままついに性的不能状態に陥り、焦ったあげくに女性なら誰でもと熟年ばかりが集まるクラブにナンパにでかける若者とか、米国かぶれの著しいスーパーの中間管理職のオヤジとか、一匹狼を気取り勝手な正義感と妄想にとりつかれている暴力的な中年刑事とか……。コリン・ファレルのレイフは、街のチンピラで凶悪な風貌だが「そろそろお部屋も持ちたいし、家庭を築いて、中華なべとかジューサーとか、キッチンに置いたりして~♪」などと夢見て強盗に励む。パブの車椅子のじいさんや、投石少年も映画を盛り上げる(?)。

一応、犯罪がメインのストーリーなのだが、普通の人々のヘンでかっこ悪い出来事を、音楽も含め映画として凄くかっこ良い見せ方で見せていると思う。みんな、相当命ギリギリなことをしていたりするが、最終的には死なないし、後味はほのぼのとしたものだ。脇役のオヤジ陣&ヒゲ姉ちゃん&暴力主婦にかなり魅せられる。この絶妙な加減の面白さ、どこかで味わったなあと思うが、思い出せず、残念。

夜、『モーターサイクル・ダイアリーズ』の撮影風景をドキュメントした『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』を見る。これは『モーターサイクル・ダイアリーズ』に匹敵する素晴らしい作品だと思う。80歳になったアルベルト・グラナード本人(非常に魅力的なじいさん)が撮影に同行。監督よりも先に、テイクにOKを出すなんていう微笑ましい場面もある。チェ・ゲバラにまつわるラテンの歌が全編に流れ、ラストはゲバラの演説の声。ぜひ本編と一緒にDVD化してほしい。

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» ダブリン上等!(2005/2/21) [えいがにっき]
って言われて観ない訳いかないでしょう!この邦題思いついた人、えらい!原題の「インターミッション」じゃ、観なかったかも。 バカなヤツらが出て来る映画が観たかった... [続きを読む]

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