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2004.11.08

"O-B"を笑え

『オールド・ボーイ』を見たら、パク・チャヌク監督の復讐3部作"その1"である『復讐者に憐れみを』(シン・ハギュン、ソン・ガンホ、ペ・ドゥナという豪華キャスト)がまた見たくなり、VCDで見た。2年前の東京国際映画祭で見た後に、欲しくなって買った香港版のVCDだ。

その『復讐者に憐れみを』という、どうしょうもなく暗く痛いばかりの物語を見て思い出したことがある。それは、パク・チャヌク監督の映画のどこが好きかということだ。『オールド・ボーイ』の激烈さに圧倒されて、自分の意識の中で抜け落ちていたことだが、彼の映画は人間の行動する様が可笑しいのだ。自分はそこが好きだ。もちろん全編にわたって面白いコメディとは訳が違う。『復讐者に憐れみを』は公開予定ということだが、グロい系の映画マニア方面を煽る宣伝をする以外には、『オールド・ボーイ』ですら残酷だの何だのと賛否両論あるようでは、さらに救いのすの字もないこの映画など、どう考えてもお客の入る見込みなどなさそうだ。悲惨で血まみれな上に、『オールド・ボーイ』の手に汗握る展開と違い、淡々としたリズムで展開するこの映画が、しかしそれでも好きなのは、苦境に立たされて必死で動きまわる人間から立ち上るペーソスと、笑えるかどうかぎりぎりの状況で提示されるユーモラスな演出、そんなものを見ることができるからだろう。シニカルでクールでありながら、それこそ「憐れみ」、どこか慈愛を秘めた憐れみの視線を感じるし。

そう思ったら、もう一度『オールド・ボーイ』が見たくなった。結構笑っていたつもりだったけれど、もっと笑ってよかったのだ、あの映画も。監督はいたるところに小ネタを仕掛けているはずだ。『JSA』だって、ストーリー自体は重く悲しいものだが、笑いどころはたくさんあったじゃないか。

……そんなヘリクツを忘れさせるくらい、チェ・ミンシクがすごかったということなんだけれども。

『オールド・ボーイ』中で誰もが賞賛する、多対1の廊下でのアクションシーン撮影を終えた後、ソン・ガンホが陣中見舞いに来たそうだが、そういえばチェ・ミンシクにあってソン・ガンホにないものは、ゴージャスさだろうな(笑)。あんな小汚い格好でも、濃厚にゴージャスなんだから。いや、ソン・ガンホも好きだけど。

『復讐者に憐れみを』には、キ・ジュボンさんもイ・デヨンさんも出ている上に、ラストシーンに登場する4人の男のうちの1人は、『オールド・ボーイ』で屋上でオ・デスにネクタイをつかまれていた自殺男(オ・グァンノク)だった。映画祭で見た当時は、全く彼らを認識していなかったが、今見るとびっくりの連続だ。さらに今になって見てすら気付かなかったが、リュ・スンボムくんも驚くべき役どころで出ている(&映画監督の兄も)。

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