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2004.09.17

Happy All Together

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東京フィルメックスも、早くもいつのまにかスケジュールが発表されていた。

愛し合う2人の青年の日常(←(C)フィルメックス公式サイト"作品詳細")の物語が、後半一転、中島敦になってしまい、何だかわけがわからぬ(?)と評判のタイ映画『トロピカル・マラディ』や、世界各地の映画祭ラインナップでタイトルを見かけた気がする中国映画『雲の南へ』(監督の朱文は、フィルメックス公式サイト"作品詳細"によれば、『沈む街』や『ただいま』の脚本を手がけた人だという。思わず小躍る!)ほか、特集上映もジョニー・トーの柔道映画(のレオン・カーファイ(←だけかよ))も楽しみだ。

冒頭の画像は、昨晩、渋谷で見てきたアルゼンチン映画『ある日、突然』より。アルゼンチンで、ロードムービーで、この白黒画像で、といったら『ブエノスアイレス』を思い起こさずにはいられず、どうしても気になって、レズビアンのカップルと誘拐された女性のロードムービーだ、ということだけを予備知識として見に行った。ら、似ていたのはこの写真ぐらいなもので、ウォン・カーウァイ映画とは似ても似つかぬものだった。が、大好きだと言えるぐらいに、面白かった。

決して見場は良くないが、けっこうみんな自分の中に思い当たるフシがありそうな俗物チックな肥満のヒロインをメインに、シャワー室での全裸から、便器の中から吐瀉物まで、しれっと映し出しておきながら、後半、老女たちの皺だらけで愛しい顔の大写しや、犬やニワトリや、どこか懐かしい風景、安らいだ登場人物たちの様を、静かに差し出すように見せてもくれる、全編モノクロで。

ヒロイン、マルシアの退屈な日常とそれに対する苛立ちと、彼女の凡庸さとを手際よく見せた後、"旅"が始まるきっかけとなるのが、恋人レーニンを伴ったパンクスのレズビアン、マオがマルシアを見かけて追いかけて行き、口説く場面だ。マオは彼女に、一目惚れしたと言い、理想のタイプだと言う。理想の"暗い表情"をしていたのだ、と。そのときレーニンの顔が映る。レーニンも、マオ自身が恋人だと言うだけあって、相当暗い表情をしている。まるで宗教画の、処刑前のキリストの顔のようだ。確かに暗さというのも、ある種、人を惹きつけてやまないものがある。

そう思った途端に、マルシアの性格も日常も過去の人生をも、何もかも教えてくれるような、彼女のつまらなそうな重苦しい表情が魅力的に思えてくる。情けなさ満点のファッションセンスも、"個性"に見えてくる。ダイエット食品か痩身美容の広告の"使用前"写真に必ず出てきそうな、はちきれたマルシアの身体に、セックスアピールすら感じられるようになってくる。

マオとレーニンと、ナイフで脅された"いやいやながら"のマルシアとが、運転手を脅して奪い取ったタクシーで"旅"を始める。何をしでかすかわからぬパンクスたちと、何を考えているかわからぬマルシアが、行き当たりばったりの旅先で、ヒトとすれ違い、ヒトと知り合い、ヒトと別れる。マオのマジックワードのおかげで、すっかりマルシアに魅せられた自分は、まったく飽きることなく、彼女たちの旅を凝視した。そして、始まり方から考えれば、全く意外な終わりがまっている。その終わりは、甘過ぎるぐらいに温かだ。そりゃ、"青春映画"だそうだからね。

その"青春映画"の、醜く迷える苦しい若者たち(女)に比べ、大人たち(女)の何とかっこいいことか。水族館員のおばさんも、教師の女性も、ばあさまたちも、誰もが優しく潔い。だから"青春映画"なのに、気に入ったりしたのか、自分(笑)。サントラ盤が出るかどうか、まだはっきりしないようなのだが、ぜひ出して欲しい。モニカ~♪

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