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2004.04.30

ビビン麺を食う

『ラクダ(たち)』で、イ・デヨン&パク・ミョンシン演じる中年カップルが、ホテルで食うのが「ビビン麺」。韓国料理店にも焼肉屋にも余り行ったことのない自分には初めて見聞きするメニューだったのと、シチュエーション的に印象深かったことがあり、以来とても気になる料理だった。

というわけで、みどりの日のきょう(とはいえ既に「きのう」)、バトリス・ルコント『列車に乗った男』→山下敦弘『リアリズムの宿』→「ビビン麺」というコースで、渋谷ひとり旅とあいなった。当初『列車に乗った男』の後、『バーバー吉野』にするか『リアリズムの宿』にするか迷っていたが、『列車に乗った男』が思ったより軽い仕上がりだったので、もうちょっと暗い映画が見たくなり『リアリズムの宿』に。

列車に乗った男』は、田舎町で静かな生活を送る元教師の老紳士(ジャン・ロシュフォール)と、銀行強盗をするために町へやってきた流れ者の中年男(ジョニー・アリディ)が出会って別れる話。陳腐な言い方だけど、「全く対照的な2人の男の人生が交錯する」と言ってしまえば、それで終わりな「小作り」な話だ(←こういうときこそ「小品」という言葉を使え)。

シンプルな話の陰影を深めている、パン屋の女性店員とのやりとりや老紳士と姉との場面など1つ1つのエピソードも、ウィットと重みを兼ね備えた台詞も、俳優も、音楽も良かったが、自分にとって最大の見どころは、中年男の脚だった……(笑)。フランス映画をほとんど知らない恥ずかしい奴なので、流れ者の中年男が何者なのか映画が終わるまで知らなかった。が、映画冒頭の登場シーンから、彼のあの細い脚はタダモノではないと思っていたら案の定、往年のフランスの人気ロックミュージシャンだというではないか。確かにあれは、ミュージシャンの脚だよ。

リアリズムの宿』は、主演の山本浩司を見ていて、なぜか楊祐寧を思い出して仕方なかった(いや、全然違うんだけど。台湾偶像とは似てもにつかないんだけど。口から顎にかけての骨格かな?)。つげ義春原作の2人の男が旅する話だが、(原作がそうなんだろうが)何も起こらないので、きっちり描写された旅館や出会う人々がせっかく面白いのにもったいないなあとか、映画の目指すところとは全然違う部分で、勝手に消化不良を起こしたりした。……あ、「リアリズム」だから、何にも起こらなくていのか。

けなげに働く、最後の旅館の「耳あて少年」は可愛いかった。くるりの曲もいい。途中から旅に加わる女の子もナチュラルで好きだが、男性の都合のいい夢のように登場して、男にとって都合よく存在し消え去っていく感じはヤだな(そこも原作?)。独特の間とか気分はわかるが、特に新鮮さは感じなかった。見損ねた『ばかのハコ船』が見てみたい。

ビビン麺を食べた店は、足を踏み入れるとすぐに、けっこう有名な店らしいということがわかったが、5時すぎだったので他のお客は1組のみでゆったりとした空気が流れ、店員さんはとても親切だった。ビビン麺は(よく知られているものかもしれないが)、冷やし中華のキムチ風味とでもいうようなもので、なめらかで強烈なコシのある大変美味い麺に、リンゴと、煮付けた椎茸と、煮豚と、キムチと、キュウリと、錦糸玉子と、糸とうがらしが乗っている。食べると口中で徐々に辛味が増し、冷えた生ビールが進んだ。店員さんに、店に来た理由として映画の話をすると、「シュリやJSAは見ましたか?ソン・ガンホさんは(ここへ)2回見えました。チェ・ミンシクさんも素敵ですよね」などと話を合わせてくれ、すっかり嬉しくなった。チェ・ミンシクさんとソン・ガンホさんの『シュリ』は、テレビ放映を適当に見ただけでちゃんと見ていなかった自分、さっそく帰りにDVDを借りにレンタル店へ飛び込む単細胞っぷりを発揮した。

すっかり時系列な子供の作文で恐縮だが、その後入ったCD店で《十七歳的天空》のサウンドトラック盤(台湾版)を見つけ、もともと買う気などなかった物だが、日本の空の下でこの映画の名の付いた品物を手にした喜びに勢い余って購入してしまった。

このOST、サブタイトルが「愛的主題曲」。昔の映画音楽でよくあった「○○○愛のテーマ」ってヤツか? CD盤面は祐祐で、ジャケットとブックレットはともにとても綺麗だ。「ハガキ」とおぼしきオマケも4枚ついている。ほとんどが中華ポップスおなじみのラブバラードで、選曲にパンチやセンスがあるとは感じられないが、なかなかに可愛らしい品物ではある。

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