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2004.04.15

寂寞的十七歳

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(左は映画、右はニエズ公式サイトのダウンロード壁紙より)画像はどちらも、ニエズ中で李青の父親を演じた、"名優"柯俊雄。

またも「十七歳」の話題だが、今回は若者たちは出てこない。ニエズの原作者・白先勇の短編小説に『寂しき十七歳』(原題:寂寞的十七歳)という作品がある。同名の台湾映画が存在し、それに若いころの柯俊雄が出演しているのを知り、早速VCDを購入したのはもう昨年のことだ。映画は1967年の制作で、多くの部門で金馬奨を受賞している。

見てみたら、映画は白先勇作品とは何の関係もない、ふしぎ~なお話だった(どこまで内容を理解できたかは甚だ疑問だが)。それでこの際、せっかくなので、若き日の柯俊雄の《寂寞的十七歳》中の画像(左)を上に出してみた。

映画はさておき(←さておくな)、白先勇の小説の方の『寂しき十七歳』は、以前も書いたが徳間文庫の『最後の貴族』という彼の短編集に収録され日本語になっている(中村ふじゑ訳、絶版)。

そこに登場するのは、勉強も生きるのも苦手な不器用な17歳の少年で、学校でも家庭でも上手くいかない彼の、しばしの逃げ込み先として「新公園」が登場する。公園で出会うレインコートの中年男に少々からまれたりもする。設定も違うし、主人公は帰宅するのだが、遠い遠い阿青の原型を見るような作品だ。

1961年に発表された『寂しき十七歳』の以降の作品で、白先勇の「新公園」シリーズ(←(注)そんなシリーズはない)には、日本語で読めるものがもう一作存在する。『満天にきらめく星たち』(原題:満天裡亮晶晶的星星)という1969年の短編だ(池上貞子訳・「ユリイカ」1995・11月臨時増刊号収録)。ここには既に、新公園に集う老若男男が蓮池の周囲で語る様なども描かれている。ラストには、ほとんど描写はないが小玉という名前の若者も一瞬登場する。

そして、唯一の長編であるニエズ(『[薛/子]子』)の「現代文学」での連載が始まるのは、その6年後の1977年のことになる。小説は、1970年5月5日付けの、主人公・李青の退学についての校内の張り紙とともに、公共電視の連続ドラマのオープニングでもおなじみの、阿青が父親から蹴り飛ばされ、家を飛び出す(追い出される)シーンから始まる。次の場面は早くも「新公園」だ。骨子はさておき、表面的に見える部分だけをすくい上げれば、まさに『寂しき十七歳』から『満天にきらめく星たち』への流れが、長編小説『[薛/子]子』となって結実するわけだ。

当時の様子をリアルに再現したドラマのセットのせいか、海の向こうの国の古い時代の物語だろうという意識がどこかにあったが、作者の年譜をたどってみると、1970年代というさほど大昔の話ではないことに改めて驚く。范植偉がどこかのテレビ番組で、白先勇の名前は知っていたが、学校で習ったから知っていただけで教科書の中の遠い存在だったと語っていたが、とんでもない、作家先生は66歳の芸術家としては現役バリバリだったりするわけで、同時代人だと思うとちょっとドキドキする(←何がだよ)。


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コメント

ほいさむさん、そうですか、寂寞的……は既にお持ちですか、良かったです。

台湾のDVD販売のサイトを見ていると、よく過去の金馬奨受賞作品のBOXセットなどを見かけます。ドラマの金鐘奨受賞作セットなども見たことのある気がします。興味はありますが、何せ言葉が不自由なもので、手が出ずにいました。お仕事のためでもあるのでしょうが、うらやましいです(笑)。またお時間のあるときには、気が向かれましたら、遊びにきてやってください。

石公様

 どうもありがとうございます。「ニエズ」、友達が台湾に行くそうなので、向こうで捜してもらいます。なければ、国内で買ってみます。
 「寂寞17」は、自分の棚を見たらもう買ってありました。「中華金奨経典名作」という、15枚組みのBOXです。仕事が一段落したら見ようと思っています。
 夢にステテコ姿の柯さんが出てきてくれました。

ほいさむさん。おはようございます。お尋ねいただいていたのに、ここ2日ばかり帰宅後爆睡の日々で、今ごろのお返事で申し訳ありません。

ニエズ([薛/子]子)は、今現在、VCDはあちこちで見かけますが、DVDは台湾や香港でも余り見当たらず、あるとすれば、発売元の公共電視のサイトぐらいでしょうか。
  ↓
http://shopping.pts.org.tw/main.php?PAGE=HTM_DETAIL&BAENO=339

ただしここは海外からは、少々購入方法が面倒だった記憶が……。

ニエズDVDは、国内の明星ショップでもサイトに商品名が出ているところがありますので、国内で買う方が早いかもしれません。
  ↓
http://www.asiandrops.jp/cargo/s_taiwan_mako.html
(トップページは http://www.asiandrops.jp/ )

それから、柯俊雄の寂寞的十七歳は、おなじみのYesAsiaでもDVD版が入手可能です。
  ↓
http://global.yesasia.com/jp/PrdDept.aspx/pid-1002878123/code-c/section-videos/

石公様
 お返事ありがとうございます。そのテレビドラマ、とても見てみたいのですが、どこで見られるのでしょうか? DVDになっているのですか?
 VCDプレーヤーを知人にあげてしまったので、いまDVDしか見られず、「17歳」はDVDが出ていればすぐ買いたいと思います。
 柯俊雄を初めて見たときはなんてかっこいいんだろう!とショックを受けたくらいでした。甘い二枚目だけどちょっと憂いがあって、でも強い感じで… 森雅之さんともちょっと違う、若い頃の沖正也+神田正輝+三田明…? 彼を知った直後に、当時の、中年になった彼がテレビに出ていて、いいおじさんになっててまたまたショックでした。でも、ステテコ姿、絶対見たいです。
 プロと言われると恥ずかしいです。手がけた作品数は少ないですし、まだまだ勉強中なので。少しでもいい訳文が作れるよう研鑚の日々です。今後ともよろしくお願いします。

ほいさむさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。

私は「詳しい」などということはまったくなくて、香港映画も台湾映画も大陸映画も韓国映画も、長い間見てきているファンではないので、本当にほとんど「はったり」状態で、お恥ずかしいです。気になり始めると、その作品や作家に関する資料を入手して読んだり、インターネット上を調べまわったりと、まあ、ただ単にしつこいだけという……。

柯俊雄の出演作は調べてみると山ほどあり、ほいさむさんは沢山ご覧になっているようですが、私は最近のテレビドラマ(ニエズ)を除くと、たぶん3作ぐらいしか見たことがありません。

本当に、若いころの彼は男前ですね。優男ではない、迫力ある男前。

ですが、私はやはり、ニエズのステテコ姿の親父っぷりが大好きです。もしご覧でなければ、ぜひぜひ見てみてください。全20話の毎回のオープニングで、息子役の范植偉を蹴りつけ追い出す、典型的な頑固親父を演じる素晴らしい柯俊雄が見られます。息子が家から逃げ去っていく背中を、憤怒と虚脱のないまぜになった表情で呆然と見送る立ち姿も素敵です(笑)。

このニエズというテレビドラマが、映画のような深みを感じさせてくれる理由の1つは、脇をかためるベテラン俳優たちの演技です。中でも、主人公の父を演じた柯俊雄の貢献度の高さは言うまでもありません。

ほいさむさん、お名前からは香港映画のファンの方なのかなと想像していたのですが、Weblogを拝見すると字幕を翻訳をされていらっしゃるそうで、興味深く読ませていただきました。

言葉のプロの方が書かれる文章は、それがWeblogの文章であっても、表記方法など細やかな気遣いがされていて勉強になります。

はじめまして。柯俊雄が好きなのでいろいろ見ていたらこちらにたどり着きました。若い柯さんのお写真、ダウンロードさせていただきます。うれしい!
 いろいろとお詳しいサイトで、驚きつつ感じ入って拝見しました。よろしくお願いします。

@YOUーCOさん、こんばんわ。

私も「台湾現代小説選1 彩鳳の夢」の「冬の夜」は読みました。この記事を書いた後ですが。旧友の老男性2人のやりとりが、傳老爺が亡くなる前に阿青父を訪ねる場面を思い起こさせました。

白先勇氏はまだ60代半ばで、作家として油の乗っている年代の方なので、他にもいろいろ活動していらっしゃるようで、確か5月だか6月だったかに崑劇「牡丹亭」の「青春版」のステージの脚色&プロデュースを手がけ、台湾はもちろんのこと、香港・大陸でも上演するというニュースが出ていましたっけ。

他にも日本語訳が出版されている白氏の小説はあるのですが、この記事では一応「新公園シリーズ」(←そんなシリーズはないです(笑))を取り上げたので書きませんでした。「冬の夜」もそうですが、「新公園シリーズ」でなくとも白氏の小説は、美しくどこか懐かしい魅力的な作品ばかりですよね。

東京MXテレビ、そうでした「ラベンダー」放映していましたっけ。ここの映画放映のラインナップは侮りがたく、ときおり昔懐かしい香港映画をやっていたりします。以前、蔡明亮の「河」が放映されたときには大変びっくりしましたが。

こんにちは 石公さん。
ブログ初心者でいまいちまだうまく読めてない
@YOUーCO です。

私は勝手に台湾で白先勇ブームが来ているのかなと
思っているのですが…どうなんでしょ?
で、私もマイブームになっています。
(まあニエズも十七歳も見れないフラストレーションですが)

白先勇作品で日本語で読めるものをもうひとつ発見しました。

研文出版 台湾現代小説選1 彩鳳の夢

に収録されている 「冬の夜」 原題「冬夜」 です。


東京MXテレビでは台湾ドラマ「ラベンダー」も放映されてるし、もしかしたら台湾ドラマブーム来るかと思っているのですが・・・ そしたらニエズも来るかも??
 

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